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いばらの女王
投稿時刻 : 2015.06.11 03:29 最終更新 : 2015.06.11 15:14
字数 : 9994
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コメント
2015.06.11 06:32

※ このコメントには、作品の展開や結末に関する内容が含まれています。
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テニスの場面が活き活きとして素晴らしかったです。
できれば、主人公の成長を示す場面をちょっと挟むとさらに光る気がします。
コートでラリーを続けていると、相手と自分の力量からだいたい展開は見えてしまいます。次の球はこう返って来て、そして追いつけずにラリー終了、みたいに。ところが、気管の内側がめくれ上がるほど苦しい中、今までなら絶対に追いつけなかった球に追いつけた。ラケットで捉えた球が相手のバックサイドのラインぎりぎりに決まる。その瞬間、コート上の世界が変わります。空気が軽くなる。死ぬほど苦しいのに、身体の底からないはずの力がこみ上げてくる。
スポーツをやっている人間はおそらくみな、こんな瞬間に立ち会いたいがために今日も死ぬ気で練習しているのだと思います。主人公のテニスはさまざまな要素を含んでいますが、芯の部分にはひたむきさがあります。ちょっと報いてあげて欲しいかな、という気がしました。

ところで・・・
これは「顧問=高樹先生」なんですよね?
高樹先生と書かれているのはベランダの場面だけで、以後は赤城ちゃんのメールの中を除けば「顧問」としか呼ばれていません。
なにか仕掛けがあるのかと思って読み返してみましたが、分かりませんでした。
赤城ちゃんは面白い子でした。ただ、もうすこし黙っていればいいのに、という気もします。彼女自身の説明の文法がどちらかというと男っぽいので、喋るほどに人物像が「男から見た性質の悪い女の子」の定型にすっぽり収まってしまって、意外性や広がりの点がイマイチかな、と。「女王」と呼んでしまうのもやや看板倒れの観、なきにしもあらず、でした。
顧問=高樹先生だとすると、どうもベランダのシーンと練習風景とで人物像が重ならない気もします。このあたりどういう意図があったのか、気になります。
前半のテニスシーンの勢いが後半にも、と思わずにはいられませんでした。
2015.06.11 11:16

※ このコメントには、作品の展開や結末に関する内容が含まれています。
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「メンタルに差があるということは、大きな意味を持つ。」というフレーズに強く共感しました。多分テニスに限らずスポーツ全般に当てはまることなんじゃないかと思うのですが、いわゆる球際の強さというのは技術に裏打ちされたボール半個分の精神力であると思います。あと、女の前でええかっこしいすることによるブーストが起こったことにさらに強く共感しました。このブーストには確実に球際三個分の上乗せがあります。空回りしないような慎重な運用が求められますが、中高生が突然手がつけられなくなった場合にはまずこれを疑うべきでしょう。
既に指摘のある箇所と被りますが、赤城さんが終盤で勝利を確信して驕ったヒーローものの敵ボスのごとく親切に手の内をペラペラしゃべり出すシーンに違和感を覚えました。これがヒーローものであれば死亡フラグに過ぎませんが、ビッチ系ヒロインの場合ここまで懐の深い対応をしてくれるのかと考えたら微妙な気がします。あくまで僕の経験を踏まえた上での話になりますが、大概無視されるか逆ギレされるかのケースだと思います。無視の場合、近年では着受信拒否であったりブロックであったりと、その辺りの選択肢は多様化しています。ただこのケースでは、赤城さんと高樹先生が不倫の真似事をしたことは十分赤城さんにとっても弱みになり得たので、主人公にそれを逆手にとった行動を起こすことを求めるのは酷であるとしても、赤城さんの側にもう少しそういった不安を思わせるような描写があってもいいかなと思いました。鎌かけ(事実関係はもはや争えないので、言いふらす/したかどうか、どこまで知っているのか、など)を伴う饒舌な逆ギレが、個人的にはもっともあり得たルートかなという気がしてます。あくまで個人的にですが。
制限文字数の関係もあったのでしょうが、ラストの尻切れトンボ感ももったいないと思いました。女性ブーストを失ったことによる失速は非常に身につまされる思いで読みましたが、この結末の救いのなさは残念に思います。現状を認識するだけの主張は空しく、行動による変革があればと思いました。怨嗟を力に変えるという方向性も考えられたかも知れませんが、部活内で高樹先生と折り合いをつけながらその力を発揮することもまた難しかったでしょう。ただ、こうしたつらい時期を却って何かに夢中になることでやり過ごし、その夢中になった何かで大きな達成を得られることがあるのもまた事実だと思います。
全体的に共感できる箇所が多々あり、楽しんで読むことが出来ました。
2015.06.11 11:18

無記名となり失礼いたしました。念のため。
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なんとここで時間外投稿……!

ということで、読んでみました。

No.06 いばらの女王(古川遥人(旧:木下季花))
http://text-poi.net/post/haruto_furukawa/1.html

厳しめの評価になってしまうのだが(´・_・`)
人物の整合性に難があるように思いました。まず物語の根幹となる主人公だが、最初のネガティヴ思考から突然心を入れ替えたのは何故なのだろうか。赤城の行動がきっかけになっているのだけど、彼女の思わせぶりな行動はそのときが初めてじゃなく、これまでも主人公は手を焼いてきたはずである。すると主人公の心変わりの理由はなんだろうと思うのだが、残念ながらそこが書かれていない。だからその部分を読んだときは「なんで?」と持ったし、最後に赤城の本性が判明したときは「そこまでショックを受けることか?」とも思った。もちろん心の何処かで信じていたというのもあるのだろうが、むしろ逆に「絶対にあいつを振り向かせてやる!」と燃える展開もあるかと。主人公の心の限界がどこにあるのか感じ取れなかったのが残念。
あと……ってどこまで書けばいいのか迷うのだけど(´・_・`) 個人的にはもっとキャラクターに話を進めるのを任せてよいのではないかと思った。具体的に言うと、赤城みたいなキャラクターは個人的には好きだ。屈託無く周囲に悪意をばら撒く。「なんで?」と聞くと「楽しいから!」と返す。まともに向き合おうとしても疲弊するだけ。何を言っても通用せず無敵のキャラクターなのだが、主人公をあえてそれと真正面にぶち当たらせるとか。「絶対にあいつを振り向かせて、最後はこっ酷く振ってやる!」みたいな。そして実際に最後は振ってもいいし振らなくてもいい。そこはキャラクターに任せる。そういう自由さがあってもいいのではないだろうか。個人的には主人公にもっと良い人が現れて、縋り付いてきた赤城を「いらねぇよお前なんか」と殴る展開を希望。そういう胸糞の悪い小説が最近読みたい。
と、結局色々書いてしまったのだが……
BNSKの作品を読んでいると、「俺ならこうするぜ!」と考える作品が毎回いくつか出てくるのである。
今回はこれだったということで(´・_・`)
2015.06.11 06:32

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テニスの場面が活き活きとして素晴らしかったです。
できれば、主人公の成長を示す場面をちょっと挟むとさらに光る気がします。
コートでラリーを続けていると、相手と自分の力量からだいたい展開は見えてしまいます。次の球はこう返って来て、そして追いつけずにラリー終了、みたいに。ところが、気管の内側がめくれ上がるほど苦しい中、今までなら絶対に追いつけなかった球に追いつけた。ラケットで捉えた球が相手のバックサイドのラインぎりぎりに決まる。その瞬間、コート上の世界が変わります。空気が軽くなる。死ぬほど苦しいのに、身体の底からないはずの力がこみ上げてくる。
スポーツをやっている人間はおそらくみな、こんな瞬間に立ち会いたいがために今日も死ぬ気で練習しているのだと思います。主人公のテニスはさまざまな要素を含んでいますが、芯の部分にはひたむきさがあります。ちょっと報いてあげて欲しいかな、という気がしました。

ところで・・・
これは「顧問=高樹先生」なんですよね?
高樹先生と書かれているのはベランダの場面だけで、以後は赤城ちゃんのメールの中を除けば「顧問」としか呼ばれていません。
なにか仕掛けがあるのかと思って読み返してみましたが、分かりませんでした。
赤城ちゃんは面白い子でした。ただ、もうすこし黙っていればいいのに、という気もします。彼女自身の説明の文法がどちらかというと男っぽいので、喋るほどに人物像が「男から見た性質の悪い女の子」の定型にすっぽり収まってしまって、意外性や広がりの点がイマイチかな、と。「女王」と呼んでしまうのもやや看板倒れの観、なきにしもあらず、でした。
顧問=高樹先生だとすると、どうもベランダのシーンと練習風景とで人物像が重ならない気もします。このあたりどういう意図があったのか、気になります。
前半のテニスシーンの勢いが後半にも、と思わずにはいられませんでした。
大沢愛さん への返信
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感想ありがとうございます。色々な指摘をしていただいてありがたいです。

無自覚な恋心と、テニスの場面がどちらとも中途半端になった感じは否めませんね。それでもテニスの場面を描いているときはとても楽しかったので(実体験も多いので苦労せずに書けたのもありますが……)、いつかテニスを中心とした成長物語なんかも書いてみたいと思っています。

>>これは「顧問=高樹先生」なんですよね?
ごめんなさい。確かに表記がぶれてますね……。特に仕掛けは無くて、部活の時は顧問。学校にいる時は先生。怒りを感じてからは、呼び捨てで高樹。と、主人公の心の中の自然な呼び方の変化を表そうとしたのですが、ごっちゃになっていると読みにくいですね。

>>もうすこし黙っていればいいのに
ここも自分の癖で、よくやってしまうんですけど、相手の台詞を一人称の語り並に喋らせてしまうんですよね……。ビッチのキャラクターを誇張しすぎて、男から見た性質の悪い子になってるのは確かに分かります。もっと気を付けるべきでしたね。

>>顧問=高樹先生だとすると、どうもベランダのシーンと練習風景とで人物像が重ならない気もします
生徒の上に立っている教師の二面性、みたいなものを書きたかったのですが、うまく表現できていませんでした。生徒の前で指導者として頑張っている(ある意味では虚勢を張っている)面と、全国大会に連れて行かなければならないプレッシャー、生徒を怒鳴るストレス、そして日々の仕事の疲れで、生徒の方から差し出される肉体的な欲望に身を任せてしまう面、そのような人間性をうまく書き込めていませんでした。このあたりも男が書いた男性像みたいな感じで誇張されているので、字数が少ない中ではもっと普遍的に書くべきだったかもしれません。
 
皆さんの感想を見ていると、全体的に、それぞれの行動の理由、背景が見えてこない小説になったのかもしれませんね。反省です。
2015.06.11 11:16

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「メンタルに差があるということは、大きな意味を持つ。」というフレーズに強く共感しました。多分テニスに限らずスポーツ全般に当てはまることなんじゃないかと思うのですが、いわゆる球際の強さというのは技術に裏打ちされたボール半個分の精神力であると思います。あと、女の前でええかっこしいすることによるブーストが起こったことにさらに強く共感しました。このブーストには確実に球際三個分の上乗せがあります。空回りしないような慎重な運用が求められますが、中高生が突然手がつけられなくなった場合にはまずこれを疑うべきでしょう。
既に指摘のある箇所と被りますが、赤城さんが終盤で勝利を確信して驕ったヒーローものの敵ボスのごとく親切に手の内をペラペラしゃべり出すシーンに違和感を覚えました。これがヒーローものであれば死亡フラグに過ぎませんが、ビッチ系ヒロインの場合ここまで懐の深い対応をしてくれるのかと考えたら微妙な気がします。あくまで僕の経験を踏まえた上での話になりますが、大概無視されるか逆ギレされるかのケースだと思います。無視の場合、近年では着受信拒否であったりブロックであったりと、その辺りの選択肢は多様化しています。ただこのケースでは、赤城さんと高樹先生が不倫の真似事をしたことは十分赤城さんにとっても弱みになり得たので、主人公にそれを逆手にとった行動を起こすことを求めるのは酷であるとしても、赤城さんの側にもう少しそういった不安を思わせるような描写があってもいいかなと思いました。鎌かけ(事実関係はもはや争えないので、言いふらす/したかどうか、どこまで知っているのか、など)を伴う饒舌な逆ギレが、個人的にはもっともあり得たルートかなという気がしてます。あくまで個人的にですが。
制限文字数の関係もあったのでしょうが、ラストの尻切れトンボ感ももったいないと思いました。女性ブーストを失ったことによる失速は非常に身につまされる思いで読みましたが、この結末の救いのなさは残念に思います。現状を認識するだけの主張は空しく、行動による変革があればと思いました。怨嗟を力に変えるという方向性も考えられたかも知れませんが、部活内で高樹先生と折り合いをつけながらその力を発揮することもまた難しかったでしょう。ただ、こうしたつらい時期を却って何かに夢中になることでやり過ごし、その夢中になった何かで大きな達成を得られることがあるのもまた事実だと思います。
全体的に共感できる箇所が多々あり、楽しんで読むことが出来ました。
無記名コメント への返信
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Pimeles O. Levalierさん、初めまして。感想ありがとうございます。
「メンタルに差があるということは、大きな意味を持つ。」という部分は、自分が部活をやってきた中で深く実感してきたことだったので、共感できると言っていただけるのは非常に嬉しいです。異性のために頑張る、ふとした出来事が切っ掛けで思考がポジティブになるというのも、実感を伴った文章だったので、(実際にそういう人を相手にしたことがありますが、やはり強かったです。応援が力になっているのが感じられました)、共感したと言っていただけたのは嬉しかったです。
ご指摘の部分に関しては、全くもってその通りだと思います。大きな反省点です。大沢さんへの返信でも少し書きましたが、相手がメールでぺらぺらと自分の悪行を語る展開に、やはり説明的といいますか、物語の都合として書かれてしまっている感じがあり、リアリティがないのだと思います。Pimeles O. Levalierさんが仰るとおりに女性側が逆切れ、あるいは主人公側が怒りを力に変えて復讐する、なんて展開の方がお話として面白かったかもしれません。しかし、今回の自分の目標として、報われなかった主人公ががんばって地位を得て、それでも女性に裏切られたことで挫折し、どうすることもできない喪失感を抱える、という物語を書きたかったので、そのお話で魅せられなかったことが、やはり力不足だったのだと思います。
主人公には(初めての女性の喪失のために)乗り越える力が生まれなかった、どうしようもなくその時は心がくじけてしまった、その結論に至るまでの書き方が、やはり雑になってしまったのだと思います。
最後に、楽しんで読むことが出来た、と書いていただいてありがとうございます。すごく嬉しいです。
※ このコメントには、作品の展開や結末に関する内容が含まれています。
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なんとここで時間外投稿……!

ということで、読んでみました。

No.06 いばらの女王(古川遥人(旧:木下季花))
http://text-poi.net/post/haruto_furukawa/1.html

厳しめの評価になってしまうのだが(´・_・`)
人物の整合性に難があるように思いました。まず物語の根幹となる主人公だが、最初のネガティヴ思考から突然心を入れ替えたのは何故なのだろうか。赤城の行動がきっかけになっているのだけど、彼女の思わせぶりな行動はそのときが初めてじゃなく、これまでも主人公は手を焼いてきたはずである。すると主人公の心変わりの理由はなんだろうと思うのだが、残念ながらそこが書かれていない。だからその部分を読んだときは「なんで?」と持ったし、最後に赤城の本性が判明したときは「そこまでショックを受けることか?」とも思った。もちろん心の何処かで信じていたというのもあるのだろうが、むしろ逆に「絶対にあいつを振り向かせてやる!」と燃える展開もあるかと。主人公の心の限界がどこにあるのか感じ取れなかったのが残念。
あと……ってどこまで書けばいいのか迷うのだけど(´・_・`) 個人的にはもっとキャラクターに話を進めるのを任せてよいのではないかと思った。具体的に言うと、赤城みたいなキャラクターは個人的には好きだ。屈託無く周囲に悪意をばら撒く。「なんで?」と聞くと「楽しいから!」と返す。まともに向き合おうとしても疲弊するだけ。何を言っても通用せず無敵のキャラクターなのだが、主人公をあえてそれと真正面にぶち当たらせるとか。「絶対にあいつを振り向かせて、最後はこっ酷く振ってやる!」みたいな。そして実際に最後は振ってもいいし振らなくてもいい。そこはキャラクターに任せる。そういう自由さがあってもいいのではないだろうか。個人的には主人公にもっと良い人が現れて、縋り付いてきた赤城を「いらねぇよお前なんか」と殴る展開を希望。そういう胸糞の悪い小説が最近読みたい。
と、結局色々書いてしまったのだが……
BNSKの作品を読んでいると、「俺ならこうするぜ!」と考える作品が毎回いくつか出てくるのである。
今回はこれだったということで(´・_・`)
※ このコメントには、作品の展開や結末に関する内容が含まれています。
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厳しめの評価、大歓迎です。

感想への返信ですが、確かに主人公がやる気になった部分の心の動き、その書き方が雑だったように思います。全体的に、先生や赤城に関しても、それぞれの行動の理由と背景、動機みたいなものがしっかりと書きこめませんでした。
最後に赤城に裏切られたと知った場面での怒りも、恐らく読み手側には唐突に現れてしまったように感じたのだと思います。おいおい……いきなり感傷的になられても……こっちにはよく分かんないよ、という展開になってしまったのだろうと思い、雑だったなと気づかされました。
元々の私の性質なのかもしれませんが、なんとなく大事な場面を感傷的に書いて表現しよう、みたいな癖があるので(作品を読み返して思いました)、引き込みたい場面を感傷的な雰囲気に頼らず書けるようになりたいです。結末に至るまでの道を丁寧に敷くことも大事ですね。改めて気づかされました。
あと、ほげおちゃんが仰る通りに、キャラクターにもっと身を任せるべきだったかもしれません。ほげおちゃんが提示してくれたアイデアもとても面白そうです。いつかまた、キャラクターを動かして面白く出来るような小説に挑戦したいと思います。
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