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第28回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
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カラカリカロクレ
 投稿時刻 : 2015.08.15 16:50
 字数 : 1008
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カラカリカロクレ
朝比奈 和咲


 これで一週間、身体がだるい。酒を飲んでも、本を読んでも、どうにもこうにもだるさが残る。大学に行く気もおきない。だからまあ、昼間から寝るしかないのだが、病気でもないのだから、寝れば寝るほど、夜中になれば眠ることもできない。
 だからこうして仕方なく、深夜になて、友人の遺書を読み返すことになる。友人はカラカリカロクレを追い求め、そして彼自身もカラカリカロクレになてしまた。これは事実である。
 事実、と言ても、私もこの目で見たのに信じられない。だから、なおさら心にしこりが残る。そのしこりがこうして私の身体にだるさを齎している。その証拠に、私はこの友人の遺書を読んでいるとだるさが抜ける。いよいよ、私は頭を抱えることとなる。だるさと遺書は関係ない、と。
 そもそも私はカラカリカロクレをきちんと知らない。ただ、友人はカラカリカロクレに私の目の前でなり、そして私に遺書を残して去たのだから、そういえば、あの姿をカラカリカロクレだと言われれば、確かにそのようなものなのだろうという、妙な説得力がある。
 しかし、ああいうわからぬ物は、私の中で想像を勝手に吸い込み、都合よく吐き出し、そうして私の中で説得のある怪物と化してしまう。友人は怪物となたのではない。
 友人は、カラカリカロクレになたのだ。
 しかし、その瞬間を思い出すとだるくなてくる。このだるさを解消する手段の一つが、もしカラカリカロクレを頭から消して……、いや、馬鹿な考えはやめにしよう。
 身体のだるさと、カラカリカロクレとは関係しないはずだ。
 しかし……、友人は死んだわけではない。友人はカラカリカロクレになたのだ。死んだわけでもないのに遺書を残して去るとはどういうことか。
 遺書にはこう書かれている。
僕はカラカリカロクレになてしまたー
 次に挿絵がある。
[※ここに挿絵]
その瞬間、君には僕がこう見えていたー
 確かに私はそう伝えた。カラカリカロクレになる瞬間だ。そして、カラカリカロクレだと認めざるを得なかた。
今は解る。君は嘘つきではなかた。人間だた、疑て悪かたー
 いや、私はカラカリカロクレだたはずだ。君をからかていたんだ。
 だが、あれが真のカラカリカロクレだたとすれば、私はいたい今までなんだたというのか。
 自分がもう怪物にしか見えない。
 友人よ、返してくれ。私の大事なカラカリカロクレを。
 私をカラカリカロクレでもなく生物でもなくした君を、私は恨む。
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