古代から貴女へ
工事現場から、古代遺跡の欠片と思われるものが発見された。
朝のニ
ュース、新聞で報道されていたのはみたけれどどれも小ネタ、三面記事程度の扱いだった。
それが今、わたしの目の前にあるなんて信じられない。
うちのゼミの教授はその筋では著名なセンセーらしいけど、ふつーのおじいちゃんにしか見えない。
丸い眼鏡の某フライドチキンのおじいちゃんにそっくりで、講義もゼミも楽に単位がとれることで有名。
でも今日は見慣れないスーツの人たちに囲まれて、いつもよりずーっと厳しい顔をしていた。
聞き耳を最大限立てて分かったのは、ニュースでいってた遺跡の欠片が今ここにあること。発掘されたのは、いくつもの偶然が重なり奇跡的に原型を保っていた…多分紙のようなものであること。
専門用語が出てくると、ゼミでも全然真面目に勉強してないわたしにはわからない。
新しい象形文字かもしれない。文書として機能していたのかもーなんて会話が聞こえてきたら、実物見たくなるよね?
センセーのデスクに近づくために、いつもは淹れないお茶を持って恐る恐る近寄ろうとしたら、やっぱりスーツに止められたけど、センセーが笑って手招きしてくれた。
さすがセンセー。お茶を置きつつチラ見してみた…けど…
[ここで挿絵]………これが新しい象形文字?
こんな大勢おっさんが集まって、真面目な顔してなに言ってんの?
堪えきれずに笑ってしまったら、スーツのおっさんに同じタイミングで睨まれてしまった。
うぅコワイコワイ。
「でもこんなの文字じゃないのに…」
そそくさと去り際に呟いたら聞きとがめられてまた睨まれる羽目になった。
スーツ集団のボスがわたしに言う。
「お前に何が分かるんだ。分かるなら説明してみろ」
お望みとあらば、やりましょう。
わたしは意気揚々と語り始める。
「これ地図でしょ?ここからこっちにいくと恋人の家。こっちは水場でー」
「ちょっと待て」
言ってみろって言うから言ってるのに何よ…
「じゃあこの太陽やら星やらは何だ」
「え?太陽は憧れってゆーか気になってる人の家で、月は二股かけてるオトコでしょ、そんで星はいちばんの親友の家‼」
どーだ参ったか。
そう思ったのに、わたしはスーツ集団のボスに「子どもの遊びじゃないんだ」ってこってり絞られてしまった。
結局分からずじまいでスーツ集団は帰っていった。
後からセンセーに「何でそう思ったの?」って聞かれたけど、当たり前だよね?
イマドキみんなメールはカレシに見られてもいいように、暗号にしとくものじゃん。
「ナントカ先輩はどうなの?」
「えーべつになんともー(月の絵文字)」
みたいにしとけば、メール見られても二股がバレない。
そんな単純なことがわかんないなんて大人ってゆーかオトコってバカだなー
…真相は今も時の狭間に。