古代から貴女へ
工事現場から、古代遺跡の欠片と思われるものが発見された。
朝のニ
ュース、新聞で報道されていたのはみたけれどどれも小ネタ、三面記事程度の扱いだった。
それが今、わたしの目の前にあるなんて信じられない。
うちのゼミの教授はその筋では著名なセンセーらしいけど、ふつーのおじいちゃんにしか見えない。
丸い眼鏡の某フライドチキンのおじいちゃんにそっくりで、講義もゼミも楽に単位がとれることで有名。
でも今日は見慣れないスーツの人たちに囲まれて、いつもよりずーっと厳しい顔をしていた。
聞き耳を最大限立てて分かったのは、ニュースでいってた遺跡の欠片が今ここにあること。発掘されたのは、いくつもの偶然が重なり奇跡的に原型を保っていた…多分紙のようなものであること。
専門用語が出てくると、ゼミでも全然真面目に勉強してないわたしにはわからない。
新しい象形文字かもしれない。文書として機能していたのかもーなんて会話が聞こえてきたら、実物見たくなるよね?
センセーのデスクに近づくために、いつもは淹れないお茶を持って恐る恐る近寄ろうとしたら、やっぱりスーツに止められたけど、センセーが笑って手招きしてくれた。
さすがセンセー。お茶を置きつつチラ見してみた…けど…
[ここで挿絵]………これが新しい象形文字?
こんな大勢おっさんが集まって、真面目な顔してなに言ってんの?
堪えきれずに笑ってしまったら、スーツのおっさんに同じタイミングで睨まれてしまった。
うぅコワイコワイ。
「でもこんなの文字じゃないのに…」
そそくさと去り際に呟いたら聞きとがめられてまた睨まれる羽目になった。