第31回 てきすとぽい杯〈てきすとぽい始動4周年記念〉
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遅刻
(茶屋)
投稿時刻 : 2016.02.21 00:06
字数 : 825
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遅刻
茶屋


 朝起きてベッドから出ると、ベッドの横に穴が空いており、そこに落ちてしまったんです。
 ええ、私も思いましたよ。そんな馬鹿なって。
 実際穴の中を落ちていく最中に叫びましたからね。
「そんな馬鹿な!」って。
 まぁ、一日の始まりがそんな一言で始まるというのは、どう考えても寝覚めが悪い訳で、しばらく不機嫌でしたが、一向に落ち続けるわけですよ。
 なかなかそこにつかない。
 ええ、もちろん思いましたよ。そんな馬鹿なって。
 でも今度は口には出しませんでした。
 落下するということは重力にどんどん引かれて加速しているわけで、もちろん記憶によれば地球上で寝ていたわけですし、実際呼吸も出来ておりましたので、多分空気はあり、地球内部に落ちている可能性が高い。
 というわけで、加速によって落下速度が激しくなってくると大気を圧縮することに依る発熱が生じるわけで、ええ、あれです。スペースシャトルの大気圏突入と同じ原理ですね。
 そらもう熱いのなんのって。いえ、周りはマグマではありませんでした。少なくとも見た目は。
 熱いのなんのって、そらもうね。起きたばっかりだっていうのに汗だくです。
 でも、汗の熱で少しは涼しくなるわけですが、こりゃ丁度いいかもしれんな、なんて思っったりなんだかして落ち続けたわけです。
 どれくらい経ったかわかりませんが、とんでもなく長い時間であったようにも、一瞬であったようにも思われますが、いやもう加速し続けるほどの重力源によって光も抜け出せないほどですから我々が知るような物理法則が成り立たなくなってしまっているのでもはや時間など関係わけです。未来とか過去とか現在とかそういう概念が通じないわけですよ。なんでもありってわけじゃないですけど、もう、我々が一般に考える概念が通用しないわけですね。
 まあ、いろいろあって穴からは這い出してきたわけですが、私の物理法則は狂ったままなわけでして。
 そういうわけで遅刻しました。
 しかしながら、私の狂った物理法則によれば別に遅刻でもないわけで。
 
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