てきすとぽい
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初! 作者名非公開イベント2016秋
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「ゆかいな仲間たち」
(
二人目のさとり
)
投稿時刻 : 2016.07.23 15:15
字数 : 1447
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「ゆかいな仲間たち」
二人目のさとり
「今日俺の誕生日なんだけど」
「オツカイにそういうの関係ないでし
ょ
。祝われたか
っ
たら行
っ
てきて」
ノリトモが渋々と金銭とメモ紙を受け取る。履き慣れたスニー
カー
に凡そお洒落とは言えないクタクタのテ
ィ
ー
シ
ャ
ツ。ジー
ンズ。の
っ
そりの
っ
そりと商店街に向かう。
家族には言える、今日は誕生日であると。だが、他に誰かを誘
っ
てパー
テ
ィ
ー
をするわけではない。するつもりもない。する勇気もない。歩くだけだ。
商店街の花屋に到着する。自分の好みの花を買え、と書かれている。苦笑いをしながら適当に包んでもらう。ノリトモは、あいにく花を貰
っ
て喜ぶほど大人ではない。
「プレゼントかい、いいねえ、オバチ
ャ
ンもその昔ハナだ
っ
たんだよ
ォ
」
「若いころのおばち
ゃ
んの写真見せてもら
っ
たけどフ
ォ
トシ
ョ
ッ
プ
っ
てあ
っ
たの?」
「なんだいそり
ゃ
ァ
? 写真屋さんかい?」
「ごめん、またなー
」
ノリトモが自然な笑顔で花屋の店主と別れる。次は食材だ。肉でも魚でも好きなものを買えと書かれている。
結局、魚屋に来た。ムニエルが食べたい、母親をできるだけ困らせたいと思い、思いついたのがムニエルだ
っ
た。他にも作ることが難しそうな魚料理はあるだろうが、ノリトモにはムニエルくらいしか思い浮かばなか
っ
た。
「むにえる
ぅ
? なんだいし
ょ
り
ゃ
あ、昔の画家さんかい?」
「分かんない。そういう料理だと思う」
「またケ
ッ
タイな料理だなあ、とりあえずこれ持
っ
てきな!」
ノリトモはシシ
ャ
モをたくさん買
っ
た。ムニエルの完成図は浮かぶが、シシ
ャ
モで作るとなることはできるだろうか。料理方法が全く分からないので、思わず意地悪な笑みがこぼれる。
ケー
キとお菓子を買う。ケー
キはお金が余
っ
てしま
っ
たので豪勢なシ
ョ
ー
トケー
キを買
っ
た。彼女と食べるのか、と冷やかされるもノリトモにはそうい
っ
た相手はいない。夕暮れが近づいていたので、お菓子はチー
タラを5袋ほど買
っ
た。早く帰宅しないと花がしおれてしまう。シシ
ャ
モがムニエルではなく生ごみにな
っ
てしまう。
自宅に帰ると、母親が誰かと電話をしていた。楽しそうだ。大笑いしている。ノリトモは電話の邪魔をしないように母親に右手を挙げると、そのまま台所に食材をしま
っ
た。
ノリトモがチー
タラを一人で食べている。誕生日だ、つまみぐいくらい許されてもいいだろう、ノリトモはチー
ズ鱈に対してち
ょ
っ
としたこだわりがある。それは、開封後に除湿するための薬剤が同梱されているのだが、空気に触れるとそれが温まる。その熱によ
っ
て温ま
っ
たチー
ズ鱈が好きなのだ。
しばらくチー
タラを頬張
っ
ていると、玄関が騒がしくな
っ
てきた。ノリトモがどうしたことだろう、と思
っ
ているとノリトモの部屋に母親が入
っ
てきた。
「アンタはアタシの息子ながら腐
っ
てるんだから
……
カー
チ
ャ
ンがパー
テ
ィ
ー
の準備しといたから」
「は?」
「ヨレにヨレまく
っ
た服、着替えたら下りてきなさい」
どきどきしながら服を着替え、居間に入る。
「ノリち
ゃ
んは
っ
ぴー
ばー
すでー
! ち
ぇ
けらー
♪」
「は、お前ら
……
え
っ
、え
っ
?」
ノリトモがたまに家に呼ぶ友人、ノリトモをたまに家に呼ぶ友人たちが、集ま
っ
ている。おまけのように微笑んでいる花屋、魚屋、お菓子屋の主人も。
「ノリち
ゃ
ん、シシ
ャ
モのムニエル食おうぜ」
「あの花はねえ、アタシからのプレゼントだよ
ォ
」
「ノリち
ゃ
んはシ
ョ
ー
トケキ萌えなんだね!」
「う
っ
、うるせー
やい
っ
」
ノリトモは、祝福に慣れていない。こういうとき、どう笑えばいいか分からず。心を許していない人には見せられない、素敵な笑顔をしていた。
(了)
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