使えない
この世界ではというひらがなが使えません。使えないとは言えないども代用品を使うという発想はなく、さらにはという文字が存在しない仮定で文法を構築しようという提言もなされませんでした。この文字はこれまた微妙な位置づけでありまして、まあそんなに頻繁に出てくる語でもございません。漢字も含めればそれなりにあるかもしれませんが文字検索が面倒などという誠に勝手な思惑によ
って世界はなっているのでございます。でもそんなもんでしょう。聖書を読んでごらんなさい。世界の神話を眺めてごらんなさい。世界は誠に勝手で適当な思惑によって成り立っているのでございますよ。と、ここまで申し上げたわけでございますが、一向に制限された文字が文中に出てくる気配がございません。こんなものでよろしいのでございましょうか。よろしくないですね。ね。ね、ではございません。制限されているのは。
のという節足動物が存在するわけでございますが、無論文字を登場させるために登場させた動物では御座いませすが、さてここからどう物語を発展させましょうか。のが吸血鬼の先祖とでも設定しましょうか。そうです。吸血鬼の真の姿はのなのです。
の伯爵。
陰鬱な古城の窓辺に映る不気味な影。
その身の丈は1mm~9mm。
鋭い牙が生えていようにもどうしようもないですね。牙というか口吻ですし。さて、のを引き合いに出したもののそれ以外になんて文字はなかなか出てこないものでもっと別の文字を引き合いに出した方が良かったのではないかと思う次第です。ああー、失敗したなぁなんて思っても今更引き返せないのです。何せもうアイディアを思いつけるかはわかりませんから。いやぁ、臆病者なのですよ。それにしても出てきませんね。、なんでこんなにひらがなのって使わないんでしょうか。たしかにぽとかべとかはあまり使いませんけど。まぁ、漢字の中には含まれているのかもしれませんけど、面倒ですからねぇ。面倒には勝てませんよ。勝てます? そうですか、でも私は勝てません。面倒には勝てません。皆さん戦ってらっしゃるんでしょうけどね、私はどうにもだめですね。気力を兵糧攻めですからね。それなりに信念があれば別なのかもしれませんが、私は快の好子のに頼ってますからね。嫌子には負けてしまいます。さてさて、もっと小説らしい展開が欲しいところですがまったく思いつかないのがどうしようもないところです。アイディア勝負でしたが、アイディアがうまく機能しないのが明々白々となってまいりまして困った次第にございます。
ではここで、皆さんはもう予想がついてらっしゃるでしょうが、答え合わせとまいりましょうか。
今回この文章中に登場しないひらがなの文字、それは。
「」
です。
どうでしょうか?
皆さん合っていましたか?
え? 見えない?
そりゃそうですよ。
この世界ではというひらがなは使えないんですから。