第37回 てきすとぽい杯〈てきすとぽい始動5周年記念〉
 1  5  6 «〔 作品7 〕» 8  15 
投稿時刻 : 2017.02.18 23:30 最終更新 : 2017.02.18 23:31
字数 : 478
5
投票しない
更新履歴
- 2017/02/18 23:31:25
- 2017/02/18 23:30:21
鶏林書笈(계림서급)


“臨時ニスをお伝えします”
 BGM代わりにつけていたラジオの音楽が途切れた。
 作業の手を休めずに内容を聞き流していると、聞き覚えがある言葉が耳に飛び込んできた。
……自分の名前ではないか!」
“自分”は今、ヨーパの某国で事故に遭い現地の病院に運ばれたそうである……
 すぐにTVをつけてみた。画面には数年前の自身の写真が映ていた。TVが報じるところによれば、自分は個人旅行でヨーパに行き、現地の観光ツアーに参加した。一行を乗せたバスが後を走るトラクに衝突されてしまた。後ろ側の席にいた自分は大ケガをし、意識不明の状態らしい。
 自分は海外旅行にいた覚えはないし、現にここでいつものように作業をしているではないか!

 休憩時間になり、化粧室にいた。手洗い場にある鏡を見て驚いた。見ず知らずの顔が映ていた。
……さん、……さんてば」
赤の他人の名前を呼ばれながら背後から肩をたたかれた。
同僚の一人だた。
「あの子、気の毒ね。お金を貯めてやと有給を取て初の海外旅行だたのにね」
“あの子”て自分のこと?! 今、ここにいる自分は一体何者なのだろう……
← 前の作品へ
次の作品へ →
5 投票しない