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「おはよ」
「おはよ、じゃねえよ。なんなのいきなり。皆見てるし。腕を絡めるな」
「いいじゃーん恋人なんだから」
「親しい中にも礼儀ありってことわざ……ああ、お前なら知らんわな」
「ひどくない? 泣くよ?」
まあ、恋人はスルーできないよな。
取りあえず身体と身体を引き剥がしたら、スマホの電源を切った。
「昨日も散々言ったけどさ、その、家でならいくらでもするから、外ではするな。ほら、電車乗るぞ」
「ちぇー」
手を握りしめて、彼女を席へ連れた。バッグを膝に置いたら、僕も隣へ腰かけた。
「……手は握ってくれるんだ」
「そりゃ、な」
彼女がじろじろ僕の顔を見ている。可愛い。けどまあ、恥ずかしくて言えない。それにしてもずっと見続けてくる。
「やっぱりさ、眼鏡。無い方がいいよ。」
また、キスをされた。
「……伊達ならな」