てきすとぽい
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第40回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
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summer vacation diary
(
茶屋
)
投稿時刻 : 2017.08.20 14:30
字数 : 1000
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summer vacation diary
茶屋
■■年■■月■■日 ■■:■■
夏休み。季節が去
っ
た世界に残された遺物のなかを旅する。夏休みの中は広大で無限に広が
っ
ているかのようにも思えるが、大半の場合は果てはあるという。稀に永遠にそこを彷徨うことになるという。そんな夏休みでの私の旅が始まる。
デネブとベガとアルタイルが埋葬されたこの地で、その記録記す。罫線の引かれたセルロー
スシー
トに黒色のグラフ
ァ
イトで。
つまり、これは日記というやつであるらしい。
故に、私は嘘をつく。
■■年■■月■■日 ■■:■■
早速セミが鳴いている。正座をしミーンて虚ろな目で天ミンミン井を見つめているそれのミーン、あんぐりと開いた口からけたたましい音ミーンミンミンが垂れ流されている。あまりにうるさいので西瓜で口をふさいでみたがミンミン一向に鳴り止む気配がないミンミンミンミンミーン。どうやら今度は耳から流れ出ているらしい。次第次第に音は増しミーンミンミンミンミンミーンていミンる様ミンミンミーンミン子ミンであミンるミンミーンミン。
■■年■■月■■日 ■■:■■
向日葵の根本には大抵死体が埋められているというか、そもそも向日葵というのは死体から発芽するものなのだ。それは犬が棒に当たる以上に自明なことだ。だから戦場には向日葵がたくさん咲くものだし、肝試しには向日葵が欠かせない。肝を神に捧げて是非を問うこの神明裁判で、死者が出ぬはずがないのだから。
■■年■■月■■日 ■■:■■
海辺はとうに夕暮れで、墓標のように突き刺さ
っ
たビー
チパラソルの群れが海風の中をざわめいている。日が完全に沈むと虚ろな影と提灯が次々と現れては浜辺に消える。どうやら盆らしい。皆、海へ帰るのだ。
■■年■■月■■日 ■■:■■
全てが記録され、正確に再現されるこの世界では過去も未来も溶け合わさてドロドロにな
っ
た。それ故に、日記を記すという行為は記録するという価値を失い、ある種の創作行為と化してしま
っ
た。だが、私は一体何を作
っ
ているというのだろうか。
■■年■■月■■日 ■■:■■
夏休みの終わりはそろそろだろうか。なぜだかそんな気がする。言いようのない寂寥感、焦り、不安。現実という異形がこの先で口を開けて待ち構えているようなきがする。き
っ
と私はその化物に噛み砕かれ、咀嚼され、溶かされるだろう。そして多分、この日記だけが未消化のまま残されるのだ。いや、日記すら思い出という虫に食われ、その原型は失われるに違いない。
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