第1回「1日で終わってしまった夏休みの日記コンテスト」結果発表
第十位
七月二十一日
今日から夏休み。六時起床でラジオ体操。八時から十一時まで勉強。午後はプー
ルと学習塾、ゲームは一日一時間まで!
【選評】
夏休み初日の典型的な空回りぶりが表れている。翌日以降の玉砕ぶりも伝わって好印象。
第九位
七月二十一日
今夜は花火大会。今年は莉緒と二人で行く。緊張するぜ!
【選評】
この翌日から日記が途絶えるあたり、リア充を憎悪する選考委員の溜飲も下がりっぱなしだった。
第八位
七月二十一日
夏祭り。悠真くんと二人っきり。どうしよう、ドキドキが止まらない……
【選評】
最初は第九位との類似が懸念されたが、作者の性別が明らかになったとたん女性選考委員諸氏の目つきが変わった。「ご飯3杯は行ける」「どっちが『攻め』?」等、荒ぶる委員たちにより選考は一時中断のやむなきに至った。そのインパクトに免じての順位である。
第七位
七月二十日
きょうから夏休み。わーい。
【選評】
落ち着け。一日早い。これが唯一の日記ということはつまり作者は夏休みに一日も日記を書いていないのだ。
第六位
八月三十一日
やべえ。
【選評】
同感だ。同じパターンは何作もあったが、最も簡潔なこれが選ばれた。
第五位
一月十一日
ほしはははらなんかちた
【選評】
放置していたところ幼稚園児の妹が書いてくれていたらしい。語尾が胸キュンである。心は温まり、そして涙が止まらない。
第四位
七月二十一日
パパもママも荷造りの最中だ。どこへ行くのか教えてくれない。ぼくは何とかこれを書いている。みんな元気で。楽しかったよ。
【選評】
通報すべきか迷ったが、こうして応募した以上、命は助かったものと判断し、掲載に踏み切った。
第三位
七月二十一日
365円+457円=832円。10円足りない。やっぱりあいつが盗んだんだ。許せない!
【選評】
無知が諍いを生む、の好例。翌日以降の沈黙は人間関係の決定的な破滅を想像させ、味わい深い。
第二位
九月一日
きょうからなっつやっすみー♪
【選評】
よかったね。
第一位
八月十五日
もう何年も夏休みが終わらない。
【選評】
終らない夏休みはただのニート。これぞ奥義!
さて第1回「1日で終わってしまった夏休み日記コンテスト」、全国から多数のご応募、ありがとうございました。
それにしても最初のページだけ書かれた日記帳が山と送付された時には役員一同、呆然としました。
なお趣旨に則り、当コンペは1回で廃止することになりました。
皆様の夏休みが、1日でも早く終わりますように。