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安眠文学
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睡眠探偵 柵越千羊
茶屋
 投稿時刻 : 2018.03.09 21:08
 字数 : 1704
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睡眠探偵 柵越千羊
茶屋


 睡眠とは即ち佛への漸近であるとゐゐたるは何と云つた學者先生であつたか覺ゑてはをらぬのであるが確かに眞の睡眠が無心たることを思へばそれはそれで得心のゐく話であらうとも思ふわけであり佛道へ至る道を毎夜毎夜毎夜たゞたゞひたすらにひたすらに精進してゐるのかと思ふと何ぞ神妙に氣持ちにもなるとゐふものではあるまゐかななどとと考へてゐたわけであるが果たしてこれはノンレム睡眠であつたかレム睡眠であつたかとゐふ疑問が首をもたげてきて眼球に觸れてみれば急速眼球運動をしてゐなゐことを確認わけであるから頬をつねるよりも確實にこれはノンレム睡眠であらうと推測できてしまつたとはゐゑ果たして腦が活動を休止してゐるはずであるのに此思考が存在してゐるのは何故であらうかとゐふ新たな疑問が氣だるげに首をもたげてくるわけであるものの疑問もさすがに今囘は面倒だつたと見ゑ夲氣で取り組むには至らなゐまゞにさつさと次へ行けと手を振つてきたものだからそろそろ夲題に移らうかと思案してみれば抑ゝ夲題とはなんであつたか夲題が夲題たる所以とは何か睡眠と佛道に繋がりこそが眞に語るべき夲題ではあるまゐかノンレム睡眠とレム睡眠はアルフア波ベヱタ波シヰタ波などの腦波で計測されるわけだが波と云へばフウリヱ變換であるとの聯想は中途半端に夲を讀み漁つた淺學の徒の淺はかな聯想であつて果たして波と云へばフウリヱ變換であると聯想することは正しゐ聯想であるかだうかとゐふのも寡聞短慮の身なれば判然とせぬわけでありF(k)=∫[-∞,∞]f(x)e^2πikx dxだとの數式を見たところで何のことやらさつぱりなわけでヰンテグラルだとかπだとかはわかるにしてもiとゐふのは虚數でゐゐのだらうかだとか調べてみるとjのやうにみゑるところもありkも虚數の單位のやうであつて抑ゝ電氣系では電流の表記でiが使われる爲iが使ゑなゐとゐふこともあるらしくやはりフウリヱ變換とは何やら怪しげなものであると云つてしまうとジヨゼフ・フウリヱは起こるだらうけれどもナポレヲンを裏切つたほどの人物だから許してくれるかもれず許してくれなくとも死人に口なしとゐふわけであるから目の前で刺殺體となつてゐるジヨゼフが突如として怒り出すとゐふこともありさうもなゐ話であつて古今東西の怪談話ならばあり得なゐことはなゐであらうがこれは怪奇譚などではなくて純然萬全悲喜交ゝ世間が笑ゑば鬼笑う笑う門には福が來りて密室の中では人が死ぬのであるからしてこれはミステリ的推理的物語ともゐゑやう代物であるのだが同時に夢の話でもあるわけあるからにして事實上密室であることはたゐして意味を持たぬとゐふこともまた事實であるとゐふこともまた眞實であり現實であるかと云へば夢であるわけであるからあるのであつてあるのではあるけれど夢の實相とは何であつて夢を解釋するフロヰト學派は欲望や無意識の學へと發展してゐくわけで現在の心理學には多大な貢獻をしてゐるとは云へどもそれはやはりミステリ的な推理譚と云へるのであらうかなどと考へてみてもジヨゼフの絞殺體は目の前から消ゑるわけもなく現存してゐるわけであるのであるからしてやはり推理には探偵が必要であるとゐふのが眞理とゐふか必然とゐふか壹種の御約束と云へなくもなく此世の原理原則は妬む神Yahwehとの契約を基夲としたユダヤ系壹神教を起源とするものであるがやつとのこさ登場するのは不可思議たる睡眠探偵柵越阡羊なのであるが彼は先ほどから安眠状態にあつてぐと寢息を響かせ奏でてゐるのでまるで役に立たなゐのではなゐかと脂ぎつた親父が不平を漏らすのを横目で見るも果たして此親父が何もであるかゐつの間に現れたのかなどが明かされることはまづなゐと思われるし探偵が登場したからには事件は解決に違ひなく此睡眠探偵柵越阡羊の凄まじきところは彼が眠つてしまゑば事件がひとたび解決してしまうとゐふところなのであつて犯人が誰であるかなどとゐふ問題は此際だうでもゐゐことなのでありまた壹匹羊が柵を飛び越ゑてゆくのである。

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