゚+.゚ *+:。.。 。.世 紀 末 ゚.+° ゚+.゚ *+:。.。
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投稿時刻 : 2018.07.19 22:17 最終更新 : 2018.07.21 12:06
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決断
たかはし@普通種を愛でる会


 神はノアに言われた、「わたしは、すべての人を絶やそうと決心した。彼らは地を暴虐で満たしたから、わたしは彼らを地とともに滅ぼそう。あなたは箱舟を造り、箱舟の中にへやを設けなさい。その造り方は次のとおりである。すなわち箱舟の長さは三百キビト、幅は五十キビト、高さは三十キビトとし、箱舟に屋根を造り、上へ一キビトにそれを仕上げ、また箱舟の戸口をその横に設けて、一階と二階と三階のある箱舟を造りなさい。わたしは地の上に洪水を送て、命のあるものを、みな天の下から滅ぼし去る。地にあるものは、みな死に絶えるであろう。ただし、わたしはあなたと契約を結ぼう。あなたは子らと、妻と、子らの妻たちと共に箱舟にはいりなさい。またすべての生き物を箱舟に入れて、あなたと共にその命を保たせなさい。それらは雄と雌とでなければならない」

 ノアは善良で賢明な人だたので、主の言葉を真面目に聞いた。キビトて言うのが何かはあとで調べようと思た。そして実直に質問した。「主よ、なぜ雄と雌とでなければならないのですか。雄と雄、雌と雌では駄目なのですか」

 主は言われた、「まだその時ではない」

 そのあと色々やり取りがあたが、結局ノアは善良な人だたので、納得がいかないまでも、すべて神の命じられたようにした。

 さらに主はノアに言われた、「あなたと家族はみな箱舟にはいりなさい。あなたがこの時代の人々の中で、わたしの前に正しい人であるとわたしは認めたからである。あなたはすべての清い獣の中から雄と雌とを七つずつ取り、清くない獣の中から雄と雌とを二つずつ取り、また空の鳥の中から雄と雌とを七つずつ取て、その種類が全地のおもてに生き残るようにしなさい」

 主の言葉を聞いてノアは喜んで言た、「主よ、鳥は全て清いのですね」
 ノアは鳥が大好きだたのである。

 主は言われた、「飛ぶからね」

 ノアは聞いた、「水鳥も箱舟に載せるのですか?カモは洪水でも浮きますが」

 主は言われた、「載せなさい。そういうレベルの洪水ではないからね」

 それを聞いて、ノアは全ての鳥を船に乗せようと誓た。

 主は最後に言われた、「七日の後、わたしは地に雨を降らせて、わたしの造たすべての生き物を、地のおもてからぬぐい去ります」

 ノアはすべて主が命じられたようにした。ノアは子らと、妻と、子らの妻たちと共に洪水を避けて箱舟に入ろうとした。

 しかしその時、ノアは主の言葉を思い出した。「すべての清い獣の中から雄と雌とを七つずつ取り、清くない獣の中から雄と雌とを二つずつ取り、また空の鳥の中から雄と雌とを七つずつ取て、その種類が全地のおもてに生き残るようにしなさい。」

 我々は清いのだろうか。ノアは自問した。

 我々が堕落したから、ほとんど全ての生物個体が創造主によて滅ぼされようとしているのではないか。どのような生涯を送たかには関係なく。

 主は、清くない獣でも、つがいを残せと仰せである。しかし、まあノア的な経験則で言えば、清くない獣のほうが増殖速度が速い。5つがいの差なんて数年で埋まる。特に人間はそうである。

 あと、わりと理系なノア的に言わせてもらえば、ノミやシラミや条虫回虫や病原菌類はどうすればいいのか。つがいて概念のない連中も多いカタツムリとかね。コウガイビルとか、梅毒スピロヘータなんてのもいるし。でも、なんとか主の仰せの通りにしたい。でも主はたぶん文系である。あのしべり方を聞けば明白である。

 理系の私の使命は、論理的に、統計的に、この洪水のあとの世界を、穏やかで主の満足されるものにすることである。

 振り返て、再度考えた。

 我々は、人間という獣は、箱舟を造る義務はあても、それに入る権利はないのではなかろうか。

 入れば、数十世代後に、主は再び大洪水をおこし、また箱舟の外の命を全て葬り去るのではないか。

 それは造物主である神には許された行為である。誰も神を咎めることはできない。

 しかし、人の悪行のために箱舟の外で溺れ死ぬ幾多の命を見ることが、人である私に許されるのであろうか。

 ノアは主に祈り、教えを乞うた。しかし、すでに主は遠くに離れ、答えなかた。すでにこの世界に興味を失ていたからである。


 そして、その日が来た。


 主が命じられた日に、主が命じられたように、清い獣と、清くない獣と、鳥と、地に這うすべてのものとの雄と雌とが、ノアのもとにきて、神がノアに命じられたように箱舟に入た。

 こうして七日の後、大洪水が地に起た。箱舟のそとにある人と生き物は全て絶えた。

 それから百五十日大水が続いた後、箱舟は七月十七日にアララテの山にとどまた。

 さらに四十七日たて、一羽のハトが箱舟の窓から飛び立ち、夕方になてオリブの若葉をくわえてきた。

 ヒトという厄災のない世界の始まりであた。
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