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第9回 文藝マガジン文戯杯「お薬」
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健康なはずだった
 投稿時刻 : 2019.10.22 01:04
 字数 : 906
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健康なはずだった
久遠大雄


 俺は、健康を意識して生きている。意識の高い人生を送ている。
 サプリメントを積極的に摂取している。
 DHA、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンD、クレアチン、アシワガンダ、にんにく卵黄、プロテイン。
 将来へのリスクへ備えて、抗がんのためにレスベラトロールも。
 中には日本では買えないので、個人輸入しているサプリメントもある。
 毎月、結構な金額がカードで引き落とされる。それでも、健康がお金で買えるなら、買たほうがいいと思た。
 これだと太らないはずだし、風邪もひかない。
 サプリメント、バンザイだ。
 健康がお金で買えるとは、人類の進化も悪くないと思ていた。

 の、はずだたのだが、会社の定期健康診断を受診したら、血糖値、脂肪などの血液検査の結果が芳しくなく再検査になた。
 問診の時、医師に、普段、サプリメントを摂取していて、そんなはずはないと言た。
 医師が俺を見て、「ウストは100センチを超えていますよね?」
 事実なので、俺は肯定した。
 医師は電子カルテを見て、「正確な値ではないですが、身長に比べて、体重も多いですね」
 俺は、気にせず、「ええ」と答えた。
 医師は俺の生活を訊いてきた。
「食事はどんなものを食べていますか?」
 俺は正直に答えた。
「朝はプロテインを飲んで牛丼屋の朝定食。昼食は同僚たちとオフスビル内の飲食店。夜は、だいたいラーメンと餃子です」
 医師は、ちと顔をしかめた。
「何か運動はしていますか?」
「そうですね。通勤の時に歩くぐらいですかね」
「土日は何をしています?」
「家でネト動画のアニメを観ています」
 医師はあきれた顔をした。
「えーと、まずプロテイン自体は悪くはないです。ただ、あれは運動して脂肪燃焼をアシストするものです。なので、そんな生活をしていたら、無意味です。それにいくらサプリで栄養を補給しても、そんな食事をしていたら、この検査値は当たり前です」
 俺は、やけに遠回しに言う医者にいらとしていた。
「つまりは?」
「サプリメントの前に、食生活と定期的な運動をしないと、なににもなりません。それさえ、していれば、人間は十分です。このままだと、糖尿病になりますよ。お金をドブに捨てているようなものです」
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