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第54回 てきすとぽい杯〈紅白小説合戦・紅〉
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同じ味 1: たべるところ
 投稿時刻 : 2019.12.14 23:10
 字数 : 416
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同じ味 1: たべるところ
小伏史央


 最初は喜んでくれた手料理も、さすがに毎回同じ味では飽きがきたらしい。
「今日も美味しいよ」
 彼は優しくそういうけれど、実感がこもた言い方ではないのはすぐわかた。ただ形だけ褒めてくれているだけだ。
 そうやていつものように口に出して褒めてくれるところは、とても好きだけれど、でもそうやて気を遣わせてしまていることがもどかしい。
「やぱり飽きたよね」
「え、そんなことないよ」
「いつも同じ味だし」
「同じ味だからいいんだよ」
「栄養だて偏うよ」
 彼は困た顔でうーんと唸る。
「本当のことを言うとね、きみの手料理だけを食べて生きているわけではないんだ。ぼくにだて私生活がある。足りない栄養は自分で補ているよ」
「私の料理は食べなくても大丈夫てこと?」
「ちがうちがう。だから、きみは気にせずいつも同じ味を出してくれればそれでいいんだ。そしたら僕は安心できるし、嬉しいなて思う」
 彼はどこまでも優しくそういて、私の手料理をたいらげた。
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