てきすとぽい
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第13回 文藝マガジン文戯杯「結晶」
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ルールブレイカー
(
higuchinomama
)
投稿時刻 : 2020.11.13 05:55
字数 : 1131
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ルールブレイカー
higuchinomama
俺はルー
ルブレイカー
。
主に認められた存在。
主からの教えからも解き離れている。
俺の心には主が閉じ込められている結晶がある。
これがあるから、俺は主の代行者であり、あらゆるルー
ルを破壊できるルー
ルブレイカー
だ。
学校でも先生に指示されたことを無視しても、主の代行者だからセカイの真理に沿
っ
ていれば、なんでも許される。
国語の夏休みに課題図書が与えられて、感想文を書くことにな
っ
た。
ただ、俺には難しすぎる「吾輩は猫である」だ
っ
た。
俺は山岸巳代蔵しか読めない。
彼は主の偉大なるしもべだ。
夏目漱石は自身のこころの探求するが、主のしもべではない。
ストレイシー
プなどとのたまわ
っ
ているが、主の教えに反して、現代セカイを生きている。
そんな奴の書いた本など俺は読まない。
相田みつをは主の教えを理解している。
そして、夏休みが終わり、宿題を提出した。
校内で当然、一番になると思
っ
ていた。
放課後、校長室に呼ばれた。
職員室ではない。
俺は、わざわざ校長が自ら表彰してくれると思
っ
た。
校長室のドアを叩き、校長室へ入
っ
た。
そこには校長と担任と見慣れない白衣を来た女性がいた。
校長は俺をソフ
ァ
ー
に座るようにうながした。
なぜか白衣の女性がテー
ブルの上にICレコー
ダー
を置いた。
校長が口を開いた。
「ま
ぁ
、昔から課題図書を選ばず、好きな作家の本の感想文を書く子はいるんだけどね。そこはあまり気にしていない。ただね、読んだ本がね」
「校長なんでですか?ヤマギシ会は主によ
っ
て救われた人たちの組織です。山岸巳代蔵は立派な人間です」
「うん、そうかもしれないね。ただ、私たちには君のことがわからなくな
っ
てね」
担任もうなずいた。
白衣を来た女性が口を開いた。
「反抗期だからしかたがないところもあるのはわか
っ
ているのですけど、ち
ょ
っ
と考え方がね。私がカウンセリングをすることになるから」
俺は言
っ
た。
「あなたは主の代行者である、私をどうする気なんですか?カウンセリング
っ
てなんですか?」
三人は困
っ
たようにうな
っ
た。
女性が。
「そういうところがち
ょ
っ
とね。保護者の方には、もう連絡していて、とりあえず私の病院に一
ヶ
月ほど入院してもらいます。そうそう、病院でルー
ルを守らないと、あなたはもうおうちに戻れないかもしれないわよ」
「なに、俺はルー
ルブレイカー
だ、病院のルー
ルもやぶ
っ
てやる」
女性は校長にささやいた。
俺には聞こえた。
「ち
ょ
っ
と、ルー
ルを守れない子は病院でも扱いかねますが」
「でも、私どもでは限界ですので」
「なら、本当に三重のヤマギシ会に入れますか?」
「それは勘弁してください」
「冗談ですよ」
ま
っ
たく大人はわか
っ
ていない。
ルー
ルブレイカー
がセカイを変えるのだ。
俺のこころの結晶が光
っ
たのを感じた。
セカイを変える瞬間が来たのだ。
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