てきすとぽい
X
(Twitter)
で
ログイン
X
で
シェア
第59回 てきすとぽい杯
〔
1
〕
«
〔 作品2 〕
»
〔
3
〕
〔
4
〕
…
〔
14
〕
謎肉
(
合高なな央
)
投稿時刻 : 2020.10.17 23:01
最終更新 : 2020.10.17 23:26
字数 : 406
1
2
3
4
5
投票しない
感 想
ログインして投票
更新履歴
-
2020/10/17 23:26:48
-
2020/10/17 23:25:38
-
2020/10/17 23:03:46
-
2020/10/17 23:03:22
-
2020/10/17 23:01:10
謎肉
合高なな央
億の金を稼ぐようにな
っ
た僕が様々な具材を取り寄せては、毎晩、家政婦に唐揚げを調理させるようにな
っ
たのは幼少の頃のあの記憶のせいだろう。
母親に虐待されていた僕は、いつもお腹をすかせていた。
毎夜、泣きながらアパー
トの廊下に立たされる日々だ
っ
た。
「これ食べる?」
隣のお姉さんが時々そ
っ
と差し入れてくれる唐揚げだけが、僕の命の源だ
っ
た。
しかし、そんな幸運は長くは続かなか
っ
た。
母親は突如姿を消し、しばらくしてお姉さんも警察に連れて行かれた。
その後、僕は孤児院に迎え入れられ、成長し、金を稼いだ。
でも、あのとき食べた唐揚げの香ばしい香り、ジ
ュ
ー
シー
な味は二度と経験できていない。
今夜も執事が珍しい肉を手に入れたと料理を皿に出す。
でも、その香りはぜんぜん違う。味も全然おいしくない。
「ああ、あの香りに出会うことは、もう二度とないのだろうか」
僕は今夜も食事をしながら、いつしか涙を流し、その先へ一歩踏み出すことに躊躇している。
←
前の作品へ
次の作品へ
→
1
2
3
4
5
投票しない
感 想
ログインして投票