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第59回 てきすとぽい杯
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謎肉
 投稿時刻 : 2020.10.17 23:01 最終更新 : 2020.10.17 23:26
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- 2020.10.17 23:26:48
- 2020.10.17 23:25:38
- 2020.10.17 23:03:46
- 2020.10.17 23:03:22
- 2020.10.17 23:01:10
謎肉
ふわ ゆー


 億の金を稼ぐようになた僕が様々な具材を取り寄せては、毎晩、家政婦に唐揚げを調理させるようになたのは幼少の頃のあの記憶のせいだろう。
 母親に虐待されていた僕は、いつもお腹をすかせていた。
 毎夜、泣きながらアパートの廊下に立たされる日々だた。
 
「これ食べる?」
 隣のお姉さんが時々そと差し入れてくれる唐揚げだけが、僕の命の源だた。
 
 しかし、そんな幸運は長くは続かなかた。
 母親は突如姿を消し、しばらくしてお姉さんも警察に連れて行かれた。
 
 その後、僕は孤児院に迎え入れられ、成長し、金を稼いだ。
 でも、あのとき食べた唐揚げの香ばしい香り、ジシーな味は二度と経験できていない。
 
 今夜も執事が珍しい肉を手に入れたと料理を皿に出す。
 でも、その香りはぜんぜん違う。味も全然おいしくない。
 
「ああ、あの香りに出会うことは、もう二度とないのだろうか」
 僕は今夜も食事をしながら、いつしか涙を流し、その先へ一歩踏み出すことに躊躇している。
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