第63回 てきすとぽい杯
 1 «〔 作品2 〕» 3  6 
投稿時刻 : 2021.06.19 23:36 最終更新 : 2021.06.19 23:39
字数 : 1273
5
投票しない
更新履歴
- 2021/06/19 23:39:33
- 2021/06/19 23:36:08
父の日
すずはら なずな


父の日だから 私の実家でお寿司でも食べようと思ている、とLINEしたら 結婚1年目の長女の桃実が即 「行くよ」と返事をしてきた。
もともと 誕生日やら季節のイベントごとに食い物でつると わらわら集まる家族ではある。

旦那のタカシくんも初めの数回は参加すべきと考えたようで、大人しくついて来たけれど、もともと人見知りな人であまり居心地が良くない様子。無理して連れてこなくてもいいよ、というのも、それはそれで申し訳ない気がしたが、これから長い付き合い(多分)なので、桃実にさりげなく 距離感とか そういうのが自分の楽なようにさせてあげてと言た。
ダンナの孝和は そういうのは全く平気なヒトで、結婚当初から挨拶もそこそこに 私の実家のリビングのソフでいびきをかいていた。馴染むというのとはちと違うだろ、と思たが まあ 自分の居心地の良さは自分でなんとかできるヒトなので良かたとは思う。

次女の杏は未だ一緒に住んでいるのだが、週末はいつもライブだ、舞台だと遠征が多いオタクである。コロナのせいで最近はイベントが延期だ、中止だというのが重なて 最近は専ら配信の時間には一緒に夕食を食べられないと言う。どうかなと思たが、同じ部屋に居ながらLINEで返事。「参加OK」。

息子のバナナ(これはLINEでの名前)は返事がなかなか無いので改めて聞くと「いいよ」との返事。3文字なのはまだましで いつも「ほい」とか「へい」が返てきたらいい方。

という訳で、子供たちの父と私の父、子供が三人、私を含め 6人の「父の日」イベント、「寿司を食べる会」が始またのだた。

人数が多めだから生存競争が激しいのか、もともと早食いの家族である。始またイベントはすぐに終わりを告げる。孝和は、会話もそこそこに食卓を離れ、もうリビングのソフににごろりにと横になている。いびきが聞こえるのも時間の問題だ。
子供たち(もう「こども」じないけど)は それぞれ スマホを見ながら 残りの寿司を狙ている。

私の父は まぐろいくつかいくつか食べ(やわらかいので食べやすいそうだ)、いつもの食後の薬を水で流し込む。ぼそぼそ言う子供たち同士の会話は全く聞き取れないので、とりあえず にこにこしている。
合間に私が 聞こえやすい方の耳の傍で、かいつまんで「通訳」するのだが、相当なボリムを要するので なかなか疲れる。
ちの質問形の言葉にも 「へえ」と言いながらあいまいに笑う時は 聞こえていない。聞き返すのが面倒だから もういいやというのが見えるので、こちも更に大きな声を出すのだが、内容が全然大したことじないので
途中で投げやりになることも しばしば。ごめんね、父。

食後のコーヒーを淹れる。父はインスタントの味が好きなので コーヒーメーカーを出してきてレギラーを淹れても父だけ別。
外で飲むときはいつも行くド〇-ルは うちで飲む(インスタントの)味と同じで美味しいと気に入ている 父である。

お父さんたち、ありがとう。感謝してるよ。

「で、今日は誰の誕生日だたのかな?」
皆が帰た後で パジマに着替え、にこにこ顔の父は言う。
← 前の作品へ
次の作品へ →
5 投票しない