てきすとぽい
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第6回 てきすとぽい杯〈途中非公開〉
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よるごはん
(
茶屋
)
投稿時刻 : 2013.06.15 23:02
字数 : 1493
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よるごはん
茶屋
応子は不本意ながら夜ご飯を作る。
今日はそもそも外食の予定だ
っ
たのだ。それが仕事が遅くなり、帰
っ
てきた頃にはだいぶ遅くな
っ
ていた。それなりの店はもう閉店時間で、開いているのは居酒屋か外食チ
ェ
ー
ン店ぐらいだ
っ
た。テンプレー
トなものを食べたくなか
っ
たし、居酒屋の雰囲気も今日の気分には合わなか
っ
たので、結局自炊することにした。
ご飯は冷凍したものを使う。
レンジがチンして、解凍だ。
使
っ
ているいささか古いレンジは熱の供給がいささか均等ではなく、冷たい部分とパサパサにな
っ
た部分が混在する。そのせいか解凍ご飯はなるべく避けるようにしているのだが、やはりご飯を炊く時はなるべく一気にや
っ
たほうが効率が良いし、大量に炊いたご飯はや
っ
ぱり余
っ
てしまうので冷凍してしまう。するとやはり定期的に解凍ご飯を処理しなければいけなくなる。
応子は思う。
これは効率を追い求める現代社会の負の側面なのだ。
反抗してやろう。
もうこんなことはやめてやろう。
革命だ。
なんてことが冗談めかして頭によぎることもあるのだけれど、結局は面倒さには立ち向かえず、日常の忙しさによる忘却にもかき消されてしまう。もとより本気ではないし、実行に移そうだなんて決意したことは一度もない。
せめて、食感をどうにかしようとチ
ャ
ー
ハン、というかケチ
ャ
ッ
プライス、をつくろうと企み冷蔵庫の中でケチ
ャ
ッ
プを漁る。
ない。
いや、ないわけじ
ゃ
ない。
けれどもしばらく使
っ
ていなか
っ
たケチ
ャ
ッ
プはだいぶ小さくしぼんでぺ
っ
たんこ。さらにキ
ャ
ッ
プの隙間から固ま
っ
たケチ
ャ
ッ
プがコンニチハしている。
いや、昼なんでこんばんわ
っ
すよと頭のなかで突
っ
込みながらケチ
ャ
ッ
プをゴミ箱へぶん投げる。
ごん
っ
とゴミ箱には命中したものの、ゴミで入り口を塞がれた箱はガタンと倒れ丸ま
っ
たテ
ィ
ッ
シ
ュ
が転が
っ
た。
応子は舌打ちをして、ゴミ箱を片付ける。
ゴミ箱の中身を捨てようと思
っ
て三日目。明日だ。明日こそは捨ててやる。
応子は機能と同じ決意をした後、顎に手を当て考える。
ケチ
ャ
ッ
プはない。
ケチ
ャ
ッ
プを使
っ
た以外のチ
ャ
ー
ハンの作り方は知らない。
いや、醤油とか胡椒を混ぜればいいのだろうが、絶対に失敗する。ケチ
ャ
ッ
プほどの味の安全性を確保する自信はない。
では、どうする。
確か納豆があ
っ
たはずだと冷蔵庫の中を再び漁
っ
てみる。
一人暮らしの応子の冷蔵庫の中には大した食材は入
っ
ていないのだが、酒類が多いし、今も応子は多量の酒を摂取している。
発泡酒二缶に日本酒一杯にウイスキー
をロ
ッ
クで少々。
それでやや酩酊しているものだから、納豆もなかなか見つけれられない。
や
っ
との思いで納豆を見つけ、手にと
っ
て冷蔵庫を閉めて彼女は思うのだ。
あ、別に納豆食いたい気分じ
ゃ
ね-や。
そ
っ
と納豆を目指して考える。
もう、カ
ッ
プラー
メンでいいや。
確か、買い置きがあ
っ
たはずと思いながら、電気ケトルに湯を入れて、カ
ッ
プラー
メンを探す。
後は簡単。中身を出して、お湯を入れて、三分待つだけ。
ちく
たく
ちく
たく
緩やかに時は流れる。
緩やかに流れてほしくない時だけに。
ちく
たく
ちく
たく
三分経
っ
て蓋を開けた時、ふと気づく。
かやく入れ忘れたよ、おい。
しかたがないのでかやく後入れだ。
時折口に入る具材はと
っ
ても硬くて、何だかまずい。まずいけれども仕方がない。もう取り返しがつかないことなんだ。後悔はもう遅い。もうやり直しが効かない。もう二度と訪れない過去。
応子はラー
メンを食べ終え、満腹になりながらも、何だか泣きたくな
っ
てきた。
どうして?
どうして?
どうしてこんなことにな
っ
てしま
っ
たの?
彼女の目の前には、ラ
ッ
プに包まれたごはん。
さ
っ
き暖めた冷凍ご飯があ
っ
た。
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