第12回 てきすとぽい杯〈紅白小説合戦・白〉
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きみのために。あと余った分をわたしに少し分けて欲しい
投稿時刻 : 2013.12.15 00:12
字数 : 427
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きみのために。あと余った分をわたしに少し分けて欲しい
太友 豪


 今でも、夢に見ることがある。
 あたたかな母の胸に抱かれてメムている。その柔らかさ、あたたかさ、乳の香りに包まれて、わたしは安らかに眠ている。……そんなわたしを第三者的な見るわたしからは安らかな安心しきた表情で目塗ているわたしが見える。
 わたしの子供たちにも似ているその赤子の顔立ち見て、わたしはそれが紛れもなくわたしであるという確信を抱く。
 その夢が続いている間中、わたしの胸の中はあたたかなものでいぱいになる。
 いつの間にか、赤子を胸に抱いているその女性は、わたしの母ではなく妻へと変わていた。妻にはすかり頼り切ていて、わたしはまるで赤子のように彼女の甘えきている。
 この夢を見たことではなく、覚えていたことにこそ意味があるのかもしれない。
 久方ぶりに、妻におはようのキスなどをしてみようと思うのであた。
 ちて。ちて、ね。

 もし、数日後にやけに落ち込んでいる様子のわたしを見かけたら、それはそういうことなので、どうか察してあげて欲しい。
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