きみのために。あと余った分をわたしに少し分けて欲しい
今でも、夢に見ることがある。
あたたかな母の胸に抱かれてメム
っている。その柔らかさ、あたたかさ、乳の香りに包まれて、わたしは安らかに眠っている。……そんなわたしを第三者的な見るわたしからは安らかな安心しきった表情で目塗っているわたしが見える。
わたしの子供たちにも似ているその赤子の顔立ち見て、わたしはそれが紛れもなくわたしであるという確信を抱く。
その夢が続いている間中、わたしの胸の中はあたたかなものでいっぱいになる。
いつの間にか、赤子を胸に抱いているその女性は、わたしの母ではなく妻へと変わっていた。妻にはすっかり頼り切っていて、わたしはまるで赤子のように彼女の甘えきっている。
この夢を見たことではなく、覚えていたことにこそ意味があるのかもしれない。
久方ぶりに、妻におはようのキスなどをしてみようと思うのであった。
ちゅーって。ちゅーって、ね。
もし、数日後にやけに落ち込んでいる様子のわたしを見かけたら、それはそういうことなので、どうか察してあげて欲しい。