第13回 てきすとぽい杯
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投稿時刻 : 2014.01.18 23:40
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遭難
たきてあまひか


冬山。
こええところだ。
こええ所だとわかてはいたが、それでも油断があたんだな。
俺と上田と下村と前川。みんな冬山経験は豊富だ。
上田なんてのは、海外でも登てくれえだし、下村はK大登山部のエース。前川だて、勲章みたいなものは一つもねえが、体力だけは俺たちの中で誰にも負けね。
油断があたんだなあ。荒れた天候、雪崩に巻き込まれかけて半分の装備を失い、山小屋になんとか逃げ込んだんだが暖をとるすべがない。
「寝ちまたらアブねえ」
そう言たのは下村だ。
「だが休まねば身体が持たんぞ」
反論したのは前川だ。
上田はじと黙て、残た装備の確認をしてた。
「ともあれ、なんとか朝まで耐えるしかねえ」
おれそう言てな、山小屋の四隅にいすを置いてな、休みながら動く事を提案したわけよ。
まんず俺が椅子から立て、次の角に座てる上田のとこまで行てタチすんだ。
そすたら上田が立ち上がてな、俺が座る。俺は次にタチされるまで休むわけよ。山田、次の角まで歩いて下村にタチ、下村は前川にタチとまあ、そう言う案配に、休みながら動くわけさ。
なんとかそれで朝までやり過ごすとなあ、運があたんだなあ、天気が回復してきてよ。
なんとか帰てくることができたんだ。
ところがよく考えると不思議なことがあたんだ。

  *   *   *

後藤さんはそこでいたずらぽい表情を浮かべた。
ぼくは応えた。
「知てますよ、それ有名なネタじないですか」
「あり、知てたかあ」
「4つ角を、4人で回ると途切れるんです。どうしても5人いないといけない。後藤さんたちは4人パーで一人足りないじないですか」
「そうだ、。運がなかたんだなあ。そんなわけでホントはその作戦は上手くいかなくてな」
後藤さんは寂しげな微笑みを浮かべて。
と消えた。
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