第一回 てきすとぽい杯
 1 «〔 作品2 〕» 3  19 
一・富士、二・鷹、三・ポップコーン
投稿時刻 : 2013.01.19 23:05
字数 : 586
5
投票しない
一・富士、二・鷹、三・ポップコーン
司令@一字でも前へ


 ゴゴゴという地鳴りで私は目を覚ました。
 すぐにやむかと呑気に構えて、布団でまどろんでいたら、その音と振動はどんどん強くなる。
 何かと思てテレビをつけてみれば、富士山が噴火するという。

 私はずとこのときを待ていた。

 避難命令を飛ばすテレビを消して、私はフライパンと、中身が詰まて膨らんだ袋を持て、ペトの大鷹の上に飛び乗た。
 非難するためではない、行き先は富士山だ。

 鷲を操り、富士山の火口上空につく。
 そこは赤々としたマグマが煮えたぎていた。
 私は魔法でフライパンを巨大化させ、富士山の火口を塞ぐ。
 そして袋の中のものを、フライパンの中へとあけた。
 同時に轟音を響かせて噴火する富士山。

 ぽーんぽーんぽぽーん!

 噴火の爆音に負けないくらいの破裂音が無数に弾ける。
 フライパンの上で踊るのは大量のポプコーン。
 そう、私は魔法のとうもろこしをフライパンに撒いたのだ。
 火山のエネルギーはすべてポプコーンに代わり、富士山の噴火は収まる。
 かくして日本の危機は救われた。

 そして、フライパンから飛び出したポプコーンは日本中へ降り注ぐ。
 シボン玉のように弾けて消えて、そこに光を残す。
 魔法のポプコーンは、みんなに幸せを届けて散ていく。

◆◆◆

 ジリリリリリ。

「何だ夢か」

 そこで私は目を覚ます。
 初夢が、一・富士、二・鷹、三・ポプコーン。
 言い伝えからは外れたが、何だかよい一年になりそうな気がした。
← 前の作品へ
次の作品へ →
5 投票しない