一・富士、二・鷹、三・ポップコーン
ゴゴゴという地鳴りで私は目を覚ました。
すぐにやむかと呑気に構えて、布団でまどろんでいたら、その音と振動はどんどん強くなる。
何かと思
ってテレビをつけてみれば、富士山が噴火するという。
私はずっとこのときを待っていた。
避難命令を飛ばすテレビを消して、私はフライパンと、中身が詰まって膨らんだ袋を持って、ペットの大鷹の上に飛び乗った。
非難するためではない、行き先は富士山だ。
鷲を操り、富士山の火口上空につく。
そこは赤々としたマグマが煮えたぎっていた。
私は魔法でフライパンを巨大化させ、富士山の火口を塞ぐ。
そして袋の中のものを、フライパンの中へとあけた。
同時に轟音を響かせて噴火する富士山。
ぽーんぽーんぽぽーん!
噴火の爆音に負けないくらいの破裂音が無数に弾ける。
フライパンの上で踊るのは大量のポップコーン。
そう、私は魔法のとうもろこしをフライパンに撒いたのだ。
火山のエネルギーはすべてポップコーンに代わり、富士山の噴火は収まる。
かくして日本の危機は救われた。
そして、フライパンから飛び出したポップコーンは日本中へ降り注ぐ。
シャボン玉のように弾けて消えて、そこに光を残す。
魔法のポップコーンは、みんなに幸せを届けて散っていく。
◆◆◆
ジリリリリリ。
「何だ夢か」
そこで私は目を覚ます。
初夢が、一・富士、二・鷹、三・ポップコーン。
言い伝えからは外れたが、何だかよい一年になりそうな気がした。