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第一回 てきすとぽい杯
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侵略のポップコーン
 投稿時刻 : 2013.01.19 23:21
 字数 : 1382
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侵略のポップコーン
おぢさんプリン10億円


「宇宙からの侵略だよ、連人くん!」
 また隣りの進常さんだ。進常さんはいつものように、庭に面した窓を開けて勝手に入てくる。
 冴えない独身中年のおじさんで、小説家を目指してる公務員だ。
 僕が学生で一人暮らしなのをいいことに、しう妄想を聞かせにやてくるんだ。
 僕は呆れながら聞いた。
「進常さん、今度はどんな設定なんですか? もう飽き飽きですよ、宇宙人は」
「違うんだよ、連人くん! ほら空を見ろよ!」
 進常さんは血走た目で、僕を外へ引張りだす。
「ほら、あそこ!」
 進常さんの指さした空を見て僕は仰天した。UFOの群れだ! 十機くらいのUFOがこちらを目指して飛んでくる!
 進常さん目をぎらぎらさせて続けた。
 そのとき、僕の秘められた力が目覚めていくのを感じた。
「う、う、うああああああ!」
 額に第三の目が開く。
「超殺戮! 虐殺殲滅根絶やしこうせ!」
 僕は叫びとともに額からビームを出し、空を飛ぶUFOをすべて撃墜した。
 地球に再び平和が訪れる……

「そんな初夢を見ました」
 僕は例のごとく、勝手に家へ上がり込んで、勝手にインスタントコーヒーを飲んでる進常さんに話した。ちと得意な気分で。
「どうです、進常さん? 面白いでし? 小説に使てもいいですよ?」
「つまんないよ、別に。連人くんはまだまだ素人だね」
 進常さんの答えはつれない。
 僕はくちびるを尖らせる。
「それは進常さんのセンスがずれてるんですよ」
「そうかなー……
 そう首をひねた進常さんの身体が、突然激しく震え始めた。
「あがががががが!」
「進常さん、どうしたんですか!」
 進常さんの身体がいそう激しく振動した。
 かと思うと、軽い音を立てて頭が弾ける。頭の中身が白いポプコーンのようなものになり散らばた。
 進常さんの身体が椅子から崩れ落ちるとともに、少女の声が聞こえた。
「やはり、地球人の中には侮れない者がいる」
 進常さんが背中を向けていたリビングへの入り口に、銀髪の少女が立ていた。身体にぴちりしたスーツを着て、手にはレトロなデザインの銃を握ていた。
 僕は驚き戸惑いつつ誰何した。
「お、おまえは何者だ!」
「深宇宙赤色製菓連盟、ポプコルニア。地球人類を全宇宙の食卓に提供するためやてきた」
「そ、そんなことが信じられるか!」
 少女は妖しく微笑んだ。
「フフフ、おまえのような特異能力者はとびきり高値のお菓子にしてやろう!」
 少女が銃を僕に向ける。 
 そのとき、僕の秘められた力が目覚めた。額に第三の眼が開く。
「超防衛! 地球外生命体全裸こうせん!」
 僕は叫びとともに、額からビームを出した。
 ビームは少女を包み込み、その服だけを溶かす。少女はあという間に全裸になた。
「いやーん、地球人のえ! 銀河連邦に訴えてやるから!」
 少女は胸と股間を隠しながら、天井を突き破て空に消えた。
 地球に再び平和が訪れる。

「と、こんな話を書いてみた。今度こそ受賞間違いなし!」
 進常さんは、僕の目の前で得意げな顔でタバコをふかす。
 例のごとく勝手に部屋へ上がり込んできて、「新作ができたんだよ!」と、僕に無理やり小説を読ませたのだ。
 新年早々頑張てるのは、僕も認める。
 でも、同時にこうも思う。
 進常さんが小説家になれる日は遠い……、と。
 そのとき、僕の背後から少女の声が聞こえた。
「やはり、地球人の中には侮れない者がいる……!」

 おわり
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