200文字小説コンテスト
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樋口兼光
茶屋
投稿時刻 : 2014.03.22 18:12
字数 : 200
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樋口兼光
茶屋


 篝火が煌々と焚かれている。
 進発の準備は既に整ていた。
「起きていたのか、兼光」
「棟梁、いよいよで御座いますな」
「棟梁……か。兼光にそう呼ばれると面映いな」
 義仲はかすかに笑た。子供の頃から変わらぬぎこちない笑顔だ。
 心は、定またのだろう。
 幼少より共にいた乳母兄弟だ。多くは語らずとも伝わるものがある。
 ついに始まるのだ。戦が。我らの、戦が。
「駆けますか」
「ああ」
「いざ」
「京へ」

 間もなく、朝日がのぼる。
 
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