200文字小説コンテスト
 1  135  136 «〔 作品137 〕» 138  283 
山田羽書
志菜
投稿時刻 : 2014.03.24 00:31
字数 : 200
5
投票しない
山田羽書
志菜


 卯の刻。腹巻きの中の往来手形と、御師から渡された山田羽書を、もう一度確認する。
「今日の予定は、草津宿で休憩した後、石部宿にてお宿の用意をしております」
 御師の説明に、米蔵は道中記を見ながら笑いを堪えるように囁いた。
「楽しみやのう。草津の名物は煎餅やと。石部宿にはええおじれが揃とるらしいわ」
 俺は苦笑しながら草鞋の紐を固く締めた。振り分け荷物を肩に、笠と杖を手に立ち上がる。
 今日も晴天。さ、出発や。
← 前の作品へ
次の作品へ →
5 投票しない