200文字小説コンテスト
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春興呵々
投稿時刻 : 2014.03.16 21:12
字数 : 200
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春興呵々
閉伊卓司


 麗らかなる春日。惰眠より目覚めてみれば、なんと部屋が巨大化していた。
 十二畳たらずのわが家の居間が、まるで体育館のごとし。
 日ごろ妻より、もう少し広い家に移りたいと苛まれるこの身を哀れんだ、おこちいの神様の仕わざか。
 小山ほどもあるソフのうえで途方にくれていると、
 ひそ
 と背後よりの気配。
 おののいてふりあおげば、いつも妻の目をぬすんで虐待しているわが家のトラ猫が嬉しそうに俺を見て、な、と鳴いた。
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