てきすとぽい
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2014年4月22日の物語
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最後の4月22日
(
伝説の企画屋しゃん
)
投稿時刻 : 2014.04.22 21:07
字数 : 1576
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最後の4月22日
伝説の企画屋しゃん
すでに知
っ
ていると思うが、と前置きをすると、憂鬱そうな溜め息が一つ漏れた。
「まあ、し
ょ
うもない仕事かもしれんが、気を引き締めてふだんどおりに作業してほしい。残業代を稼いで、美味いもの食
っ
たり、遊びに行
っ
たりできるチ
ャ
ンスでもあるしな。事故だけにはくれぐれも気をつけて、がんばるように」
工場の片隅で行われる朝礼は、いつも工場長の一言で締める。けれども珍しく不貞腐れ気味なのは、工場長も納得していないからだろう。顎が尖
っ
て神経質そうな顔が、殊更に近寄りがたい形相にな
っ
ていた。工場長のような生真面目なタイプほど、今回の仕事は受け入れがたいにちがいない。
「し
っ
かし、面倒くさいよな。下手したら、これからはち
ょ
っ
とした気紛れで刷り直しか。カレンダー
なんて、もう作らなき
ゃ
いいんだよ」
朝礼が終わると、荒い声が隣から聞こえた。同僚の青木が、見事に口をへの字に曲げていた。
「でも、仕方がないよ。日付を一個消すだけで、みんなの命が助かるんだから」
「それにした
っ
て、なんで4月22日なんだよ。ニ
ュ
ー
スでは、特に意味はなさそうだ
っ
て言
っ
ていたぞ。あいつら、俺らのことからか
っ
ているだけだ。明日には、11月15日を認めないと言いだすかもしれないぞ」
そう、ブンガク座からや
っ
てきたオー
サワ星人のおかげで、僕らはてんてこまいだ。どんな背景があるのか、4月22日をなくさなければ地球を侵略するという。国際会議が開かれた結果、オー
サワ星人はあのエイコー
星人を飼い慣らしていることが判明した。とてもじ
ゃ
ないけど、かなわない。エイコー
星人に再び襲われたら、地球は今度こそおしまいだ。
「そしたら、またカレンダー
を作りなおすだけだよ。たしかに印刷会社に勤めている僕らは大変だけど、仕事が減るよりはず
っ
といい」
インク臭い工場の真ん中で巨大なロー
ル紙を印刷機にセ
ッ
トすると、今夜は存分に贅沢をしようと僕は決めた。
たとえ残業で帰りが遅くな
っ
たとしても、僕の誕生日は一年後にはなくな
っ
てしまう。ある意味、僕はオー
サワ星人に感謝するべきなのかもしれない。だ
っ
て、誕生日が来ないということは、歳を取らないということなのだから。
ブンガク座がどこにあるのかも知らないし、どんな理由でオー
サワ星人が4月22日を消したいのかも分からない。けれども、わざわざ地球まで来るのだから、圧力をかけるだけの事情がき
っ
とあるのだろう。
というよりも、ブンガク座が星座だ
っ
たなんてはじめて聞いた。噂によると、オー
サワ星人はすばるを狙
っ
ていたりもするらしい。一体すばるには何があるのだろう。稀少な鉱石か、それとも宇宙侵略上での拠点にするつもりなのか。
やがて刷り上が
っ
たカレンダー
を手に取ると、僕はあることに気がついた。4月の第4週。そこには、23A日と23B日という日付が並んでいる。
「ふざけんなよ。なんだよ、これ。なにがBだよ!」
怒りに満ちた青木の声が工場の中でこだまする。彼は僕と一日ちがいの誕生日だ。
明日は食堂でランチを奢
っ
てやろうと思いつつ、仕事に没頭した。宇宙は謎に満ちている。これから先の人生、4月が訪れるたびに、僕は青木の怒りを思い出すにちがいない。
「ちきし
ょ
う! 23Aだの23Bだの
っ
て、服のサイズや鉛筆の濃さじ
ゃ
あるまいし!」
許さない! 許さない! 許さない!
工場の中では、わずか数人だけど激しい抗議の声がする。
23Aを狩れ!
いずれそんな発想に進みそうな気さえしたが、それよりも大変なことが起きている。
スマホをのぞくと、ヤクルトが例によ
っ
て逆転されていた。
チー
ム防御率6点台だ。
いくらシー
ズン序盤とはいえ、こんなひどい数字は見たことがない。
22日どころか、今日の試合がなくな
っ
てしまえばいいと思う。
助けて、オー
サワ星人。
防御率が悪いチー
ムが優勝というルー
ルに変えてくれー
。
このままだとシー
ズン100敗しち
ゃ
うよー
。
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