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第17回 てきすとぽい杯〈GW特別編〉
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曲り角奇譚
茶屋
 投稿時刻 : 2014.05.06 23:39
 字数 : 2384
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曲り角奇譚
茶屋


 直前の話である。
 女子高生は走ていて、曲がり角に差し掛かていた。当然、パンを咥えている。
 さらに直前の話である。
 女子高生は慌てて家を出ている。当然、パンを咥えていたのでいてきますのあいさつはかなり不明瞭に聞こえる。
 そのまた直前の話では、パジマから制服に慌てて着替えており、またまたその直前は夢の中である。
 それ以上さかのぼると夢の話しかしようがない。
 これ以上さかのぼる気はないし、一気に最初の地点まで戻て今度は話を時系列順に進めようと思うが、興味のある方は夢の内容を本人に聞いてみればよい。
 さて、直後の話である。
 女子高生は衝撃を受けて吹飛んで、それ以上の飛距離を食パンが吹飛んだ。
 彼女がぶつかたのはおさんである。
 屈強な、中年の男(*イケメンではない)である。
「大丈夫か」
 と言た男(*イケメンではない)のことを彼女は汚いものでも見るような眼で見る。
 明らかに侮蔑の含まれる視線である。
 男の差し出す手を無視して立ち上がた女子高生は男(*イケメンではない)から視線をそらすと、学校のほうへと歩き出す。
「いやちと待てて」
 振り返た彼女の目には今度は敵意が宿ている。
「丁度良かた預言の巫女、つまり君を探していたんだ」
 それを聞いた彼女の顔はみるみるうちに青ざめていき、男(*イケメンではない)のことを警戒しつつも後ずさる。
「待て待て、俺は怪しいものじない。俺は君を救うために来」
 少女の鞄が男(*イケメンではない)の顔面にヒトした。
 少女は必死に逃げる。先ほど以上の猛スピードだ。もはやパンという彼女の呼吸を妨げるものはないから本来の力を発揮できるのだ。
 
 直前の話である。
 女子高生は走ていて、曲がり角に差し掛かていた。残念ながら、パンを咥えていないが怪しげな中年の男(*イケメンではない)から逃げている。
 そしてその直後、少女は何かとぶつかる。
 今度は彼女のほうは転びもせず、ぶつかたほうが転がている。
 そこには涙目になた男の子(*将来はきとイケメンだ)がいた。
 痛そうに擦りむいた膝小僧に息を吹きかけている。
「大丈夫?」
 彼女が声をかけると、男の子(*間違いない)はきと彼女のことを睨み付ける。
「くそ。せんてをとられた」
 彼女は手を差し伸べるが、男の子(*というかこのままでもいい)はそれを払いのける。
 だが、それら一連の行動は彼女にとてとても「来る」ものがあたらしく、彼女は思わず男のことを抱きしめてしまう。
「持ち帰てもいいですか?誘拐してもいいですか?」
「くそ!はなせ!はなせ!」
 男の子(*女子高生の好みである)は必死にもがくが、抜け出せないでいる。
「やと、追いついた……て貴様!いつの間に」
 男(*イケメンではない)がだらだら汗を流し息をきらせながら追いつくと驚愕したように男の子のことを指さす。
「きさまはひかりのかけらをつぎしもの!」
 女子高生はしばらく少年の感触を堪能していたが、やがて五月蠅そうに振り向いて殺意を込めた目で中年の男(*イケメンではない)を見る。
「離れなさい!そいつは危険だ!」
 すると彼女はごめんねと少年に一声かけると、立ち上がり男(*イケメンではない)のほうへ近づいていく。
 ― 回し蹴り一閃。
「もう大丈夫だよ!怖い変態は片づけたからね!」
 少年を振り返て抱きつこうとするものの、背後でまた気配があた。
「なんで……俺は君を助けようと」
 男はまた立ち上がて来たのだ。彼女は面倒くさそうに、しぶといな……と呟く。
「よくわからんがてこじているようだな」
 少年のほうからも何やら一陣の風が巻き起こる。
 何だか偉そうで小難しい言葉づかいながらところどころ舌足らずなのも女子高生にとても胸キンポイントだ。
 少年の背後が急に暗がりが広がりそこに三つの扉が現れる。
「それが貴様の能力、幽霊屋敷(Ghost house)というわけか……
「そうだこれがわがのうりく!いでよ」
 ぎと不気味な音が立ち、三人の人間の姿が現れる。
「さくらやしきのあるじ!おおがねくろうえもん!こわれうたのしうねん!」
 桜屋敷の主、大金九朗右衛門、壊歌の少年、であているのだろうかと女子高生は思う。
 よくわからないが、姿を現した三人は一斉にイケメンではなく汗臭くてうざい中年の男に襲い掛かている。
 一人は桜吹雪を操ており、桜の花びら一枚一枚が刃物のような役割を果たしているらしく男のイケメンでもない顔や肌を切り裂いている。刀をもた侍風の男は素早い身のこなしで男に切りかかり、口を開けて歌ている少年は衝撃はのようなものを男にぶつけている。
 男は苦戦しているようだ。
 いいぞもとやれ。
 だが、その時、男の全身が光に包まれた。
「鎧纏!」
 叫び声とともに光は男のシルエトを作り出し、男は鎧に覆われた。
 鎧の男は三人の攻撃をものともせず高速で風を切る。唸りを上げる拳や蹴りで次々と敵を痛めつけ、それらを地面に伏していく。
「まだ、能力を使いこなせていないようだ少年」
 男の子は悔しそうに鎧の男を睨み付ける。
「今回は見逃してやる。首領に伝えるがいい。お前らの野望はこの俺が絶対に阻止してみ」
 鎧の首がまがた。首を曲げたのは女子高生の飛び膝蹴りである。
「怖かたね。もう大丈夫だよ。私が守てあげるから」
 女子高生の背後で鎧の男が膝から崩れ落ちた。
 差し出された手を少年は握る。
 ただし、少年の顔は恐怖に歪んでいる。

「これは始まりの物語で、出会いの物語だよ」
「始まり?」
「そう。ここから始またんだ。世界を総べた覇王・預言の巫女と幽霊屋敷の能力を持た少年の覇道の物語はね」
「ふーん。光の欠片を継し者はどうなたの?」
「ああ、彼はね、ここから精神を蝕みはじめて、そのあと色々あて魔王になてしまたんだよ」
「可愛そうに」
「本当に。イケメンだたらこうはなていなかたかもしれないね
 
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