てきすとぽいトップページへ
第17回 てきすとぽい杯〈GW特別編〉
 1  45  46 «〔 作品47 〕» 48 
せやせや
せせせ
 投稿時刻 : 2014.05.06 23:44
 字数 : 1927
5
投票しない
せやせや
せせせ


 せやな、というのは便利な言葉だ。反応に困た時、図星を突かれた時、猫が可愛い時、この言葉を使えば簡単に場を切り抜けることが可能だからだ。
 そう思わない?

「せやな」

 またせやなで返された。こいつはせやな、しか言えないのか。せやな、というのは卑怯な言葉だ。反応に困らせても、図星を突いても、猫が可愛くても、この言葉を使われたら相手に簡単に場を切り抜けられてしまうからだ。

「さきまでせやな褒めてたのに何で唐突にせやなデてるの」

 せ、せやな。
 でもお兄さん仕方ないと思う。だてせやなて便利すぎるんだもん。便利だよね、せやな。反応に困る時、以下略。

「俺にとてはまさに今が反応に困る時だけどな」

 いかにも困た表情で言うな。

「何で幽霊屋敷で幽霊とせやな談義してるんだ」

 ……せ、せやな。
 ご存知の通りここは幽霊屋敷だ。そして僕もまた幽霊である。その事実は認めよう。でも、でもさ、幽霊だてたまにはせやな談義したくなるもんじん?

「せやろか……

 せやで。幽霊だてせやな談義したくなるんやで! この地下室で死んで幾千年、千年も生きてないけど、ずと暇だたんだよ? 暇で暇で死にそうになてたんだよ? かこ古典的表現。幾年の時を一人○×ゲームで潰しただろうか。でも、ついに! ついに話し相手が現れてくれた! これで思う存分せやな談義が出来る!

「せやな談義しかすることないの……

 …………せやな。お兄さんせやな談義しかすること無い。だてそれ以外に話題無いし……。最近の流行とか、ずと地下に篭てたから何も分からないし……

「せやか……

 せやで…………、そうだ、せかく僕に会いに来てくれたんだから芸でも見せてあげるよ。嬉しいだろ? 嬉しいて言え。呪い殺すぞ。

「せやな」

 一番! 僕! 幽体離脱します!

「あ、予想ついたからやらなくていいです」

 えーなんで。予想つけるなボケ。祝い殺すぞ?

「そんなに古くもないけど、でも確実に古いからちと反応に困りますね」

 すぐ反応に困るなこいつ。まあいいや、でもお兄さん急に君が来たからびくりしちた。せかく幽霊になたんだし、どうせならあたまはみぎ、からだはひだり、次は本庄早稲田、お前の母ちんカームフレクス! とかやて驚かせたかたのに。

「意味が分からない」

 それで、どうして君はここに来たの? ちとここは関係者以外立ち入り禁止なんだけど。出待ちとかされたら困るんだけど。あけね、幽霊だからすぐに考えてることが飛んでいてしまう。幽霊だけに! 上手いこと言てしまた。僕を讃え敬え!

「せ、せやな。いや、だて、先輩が、ここの地下室に大金が眠てるらしいて」

 あー。そういう噂あるよね。僕の子供の頃もあたよ。あの頃は若かた。今では私はお兄さん。あげられるものは無いから呪うね。まあでも僕が死んだのも君と同い年ぐらいの時だたんだけどね。

「え

 懐かしいな、そういや僕もそんなこと言われてこの幽霊屋敷に忍び込んだんだけな。確かある日突然、大宇宙幹総統からの電波が僕に、近所の幽霊屋敷の地下室に忍び込んで来いて指示を出してきたんだけな……。懐かしい。

「え、だい、いやそんなことはどうでもいい、まさか」

 でもあたのは何の変哲も無い木箱の山だけ。ただの倉庫だたんだよね。でも、扉が外からしか開けられなあ

……あ、え、え、ち、俺」

 …………。飴ちん食べる?

……

 ……! 死んでる……

「死んでねよ! え、マジかよ、クソ、は? え? 閉じ込められてんの俺? おい、は、クソ、おい、開けよ!」

 おお、男の子がドアをガンガン蹴る殴るしている。でも多分それ意味無いと思うな、だてそのドア、アコスタークロスウルで出来てるもん。何だよアコスタークロスウて。防音材だよ。映画館かよ。
 僕も同じことを何度もやたよ。でも、ついには出られなかたんだ。その結果が海の藻屑です。海じないね。藻屑でもないね。言わば土の木屑ですよ……

、そうだ、携帯…………嘘だろ……。じあ、俺、一生、このまま、?」

 そうだよー。一生というか、なんというか、まあ、……短い一生だたね。後先少ない人生だけど、老後の楽しみでも見つけなよ。閉じ込められ後の楽しみか。例えばせやな談義とか。せやか談義でも可。

…………はは……

 鈍い笑みを漏らしたてどうやて無理なものは無理ですよ。笑うだけで救いが来るんなら大笑いしとるわ。でも地下室で高笑いとか怖いじん?
 うん。
 まあ、ご愁傷様、というか……。まだ死んでないけど。

……

 でも安心しなよ。
 僕の時はずと一人きりだたけど、今度は二人だから多分暇しないよ。

…………せやな」

 ……
 せやで。
← 前の作品へ
次の作品へ →
5 投票しない