第三回 てきすとぽい杯
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彼女の揺れるしっぽ
ぱぴこ
投稿時刻 : 2013.03.16 23:34
字数 : 692
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彼女の揺れるしっぽ
ぱぴこ


 ただ泣きたいときがある。
 ただ寄り添いたいときがある。
 ただひとりになりたいときがある。
 そんな時に限て、うまくいかないのが世の常。

「髪切たんだ」
 開口一番、目の前のポニーテールは言た。
 今日はキミソールにふわふわのワンピースを着ている。
 うしろの尻尾をふりふりと、彼女が振り向く度にシンプーの香りが撒き散らかされる。

 かかとの高いミルなぞ履いてよくバランスがとれるなあとキラキラ輝く足元を見ながら思た。
「うん。夏だしね」
 耳より少し下に切り揃えられた毛先を左手で軽く持ち上げながら、不器用な笑顔で答える。
 まつげバサバサでアイラインのびしと入た彼女の顔を直視するには、いつも少し勇気がいるのだ。
 まるでお人形のような整た顔立ちは同性でも見惚れてしまう魅力がある。
 と同時に、自分の自信のなさを毎度再確認してしまう。
「ますます幼くなたなあ。この童顔め」
「この、気にしてるんだぞ」
「可愛いねて誉め言葉だよ」
 横に並ぶとまるで姉妹。
 ヒールの効果でさらに背の高くなた彼女と並ぶと、とても同級生には見えない。
 童顔でチビのわたし。おとなぽくてモデルばりの彼女。

 わたしが髪を切た理由を、彼女は特に聞かなかた。
 本当に夏だからという言い分で受け流してくれたんだろうか。
 こんな不釣り合いなわたしを友達だと言てくれる彼女のすきなところは、この距離感だた。

「暑いね。スタバ行く?」
「行く行く。今ならグランデでもすぐ飲みきれそう」
 わたしは置いて行かれないように彼女のちとだけ後ろを歩く。
 決して前には行かない。
 彼女は笑いながら颯爽と風を味方につけていた。
 ああ、なんてかこいいひとなんだろう。
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