てきすとぽい
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第20回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
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〔 作品47 〕
覆面
(
三和すい
)
投稿時刻 : 2014.08.31 15:18
字数 : 1000
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覆面
三和すい
魔王から解放された町は、連日お祭のような騒ぎだ
っ
た。
だが、夜遅くともなると多くの通りから人の姿が消え、辺りはしんと静まり返
っ
ている。
静寂と暗闇に包まれた裏道を、一つの人影が町の外に向か
っ
て歩いていた。
「一人でどこに行くつもりですか、ペンギンさん?」
人目を避けて歩く人影に、ブンタ少年は声をかけた。
「
……
私は、もうペンギンではないよ」
男は立ち止まりふり返る。
「ここにいるのは国を救
っ
たペンギンではない。かつてこの国で罪を犯した酔いどれ剣士だ。これ以上、ここに留まるわけにはいかない」
「でも、あなたがいてくれたから魔王を倒すことができたんですよ!」
そう、あの時。
仲間たちの武器とともに魔王に戦いを挑んだ時、不覚にもブンタ少年はつまずいてしま
っ
た。バランスを崩し、頭に乗せていた白菜がゴロゴロと魔王の前に転がる。
その白菜を目にした魔王は、怯え叫んだ。
なんと魔王の弱点は、白菜だ
っ
たのだ。
ブンタ少年はそれに気付き、出刃包丁で素早く白菜をゴルフボー
ル状に切
っ
た。小さく刻まれた白菜を、人間に戻
っ
た酔いどれペンギン剣士がゴルフクラブで魔王に打ち込む。白いボー
ルと化した白菜は一直線に飛び、ま
っ
すぐ魔王の口の中へと入
っ
てい
っ
た。
グオオ
ォ
ォ
……
!
白菜に豊富に含まれる食物繊維・ビタミンC・ミネラルなどが効いたのか、魔王は塵となり消えてしま
っ
た。
「あなたがいなか
っ
たら魔王は倒せなか
っ
たのに、あなただけが国を追放されるなんて
……
ず
っ
と一緒だと思
っ
ていたのに
……
」
国の名士だという男がや
っ
て来て、人の姿に戻
っ
た酔いどれペンギン剣士に言
っ
たのだ。命が惜しくば今すぐこの国を去れ、と。
悔し涙をこらえるブンタ少年の頭を、男はそ
っ
となでた。
ブンタ少年は、魔王を倒すため異世界から召喚された。だが、帰る方法がわからないという。他の仲間たちがそれぞれの故郷に戻れば、彼は一人残されてしまう。
「では、こうしよう。しばらく私はCという町にいる。ただし名前と顔を隠してだ。その間に私を見つけられたら、一緒に元の世界に帰る方法を探しに行こう」
「必ず見つけます!」
「楽しみにしているよ」
そう言うと、酔いどれ剣士は夜の闇へと消えてい
っ
た。
【効果と宣伝】
このカー
ドを使うと、一時的に正体を隠すことができる。
ちなみに、ペンギンの名前を隠したオンライン作家が、現在「覆面作家企画6」のCブロ
ッ
クに潜伏中。
はたしてあなたは見つけることができるだろうか?
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