芥川賞を受賞した高山和彦ことミハイル・ヨンチョル・コウですが。
こんばんは。
このたび芥川賞を受賞しました高山和彦ことミハイル・ヨンチ
ョル・コウです。
1963年1月2日、旧ソ連のウズベク共和国の首都タシュケントで生まれました。
「あっ、人が溺れてる。早く助けんと!」でお馴染みのタシュケントです。
両親は朝鮮系で私の朝鮮名は「高英哲」です。
ウズベク人には名字がなく、小学校の時のクラスメイトの女の子アイスールは時々私のことを羨ましがってました。
だって、名字ばかりでなくミドルネームもあるんですもん。
彼女は私の初恋の相手でした。名前がアイスールだけに。
モクスワ大学法学部卒業後、軍に就職。すぐに諜報部門に配属。
アジア系の顔つきと語学の才能が重宝されたのでした。
主な仕事としては、アウンサン廟の爆破テロで韓国のチョン大統領の命を救ったこと。
ラングーンに交通渋滞を巻き起こし、大統領の到着を遅らせました。
北朝鮮工作員の爆破計画は知っていたし、向こうは私と仲間だと思ってたので楽勝でした。
あれで大統領が死んでたら、朝鮮戦争が起こっていたと思います。
ソウル五輪開幕式でも北朝鮮はノ大統領の暗殺を企てたけど、これも阻止。
開会式ではノ大統領夫妻と一緒に日本の竹下首相夫妻にもご登壇いただきました。
ノ大統領を狙撃したつもりが竹下首相に命中でもしたら、日朝戦争が起こっていたと思います。
あの時はごめんなさい、竹下首相。竹下だけに盾にしたんです。
アイスールが「ウズベクも独立したーい!」と言ったので、ソ連解体しちゃいました。
その余波で東欧革命も起こったけど、ウズベクが独立したし、いいじゃないか。
でも、アイスールがウズベク人と結婚してしまい、失恋した私の心はウズベク。
彼女の胸に顔をウズベクて泣きたかった。
えっ、意味がわからない? 私もです。
しかしすぐに気を取り直し、私も朝鮮人と結婚することに決めました。
ウズベクを離れ当方、東方に旅立ちました。
しかしまあ、私は北朝鮮ではお尋ね者だし、韓国のキムチはトウガラシがきついし……。
あっ、北朝鮮のキムチにはトウガラシは入りませんよ。
うちの母も北の出身なので、家で食べてたキムチもそうでした。
キムチと気持ちをかけて何か言うとでも思った? 残念ね。
そんなわけで日本に来て在日の中から嫁さんを探してたのですが、なかなかきびしい。
だってねえ、私の経歴を話しても誰も信じてくれないんです。
でもね、きっとみなさんは信じてくれると思います。
だってこの会見、ニコニコ動画で生中継されているでしょ?
日本国内にいる北朝鮮の工作員って、私の命を狙っているのです。
彼らの車に付けた探知機から判断すると、東京會舘は完全に包囲されてます。
銃を使うのかな、それとも爆弾かなあ……。
殺し屋なんておそろしや。そういえば総入れ歯。
まあ、みんなで一緒に死にましょうか。
それではこんな私ですが、よろしくお願いいたします。
もし生きてここを出られたら、私の本は読まなくてもいいですから買ってくださいね。
頼んます。かしこ。バイバーイ!