第21回 てきすとぽい杯
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箱の中
投稿時刻 : 2014.09.20 23:45
字数 : 328
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箱の中
山田佳江


 誰かの携帯電話が鳴た。

 この室内ではない。壁を隔てた向こう側から聞こえる電子音。
 完全な闇だた。いつからここにいるのか、思い出せなかた。
 電気がついていないのか、あるいは私の目が見えなくなてしまたのか、

 携帯電話がまた鳴る。一、二、三……。コール音を数えてみる。九回鳴たところでその音は止まる。
 頭がうまく働かなかた。自分が生きているのか死んでいるのか。それすらも分からない。
「もう、諦めよう……
 小さく漏れた声が暗闇に響く。俺はきとここで死ぬのだろう。

 薄れていく意識の中で、なぜだか思い出したのはインスタントのカプ焼きそばだた。円盤型で、お湯を注ぐタイプの。胃を締め付けるような空腹感。

「俺はまだ、生きている」
 扉が開く。久しぶりの光が目を刺した
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