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第21回 てきすとぽい杯
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策士、策に溺れる。
 投稿時刻 : 2014.09.20 23:27
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策士、策に溺れる。
あくああるた。


 誰かの携帯電話が鳴た。

 そと右ポケトから携帯をとりだすと、どうやら友人のAだ。俺はAが友人の中で最高に好きだ。
 はやる気持ちを抑えて通話ボタンに手を掛けた時、左ポケトの携帯が鳴た。
 さととりだすと嫌いな友人のBだた。こいつに電話番号を教えた覚えはない。
 とにかく嫌いだ。こいつ俺のカレーの福神漬け勝手に食うし。
 ちと舌打ちすると、机の上に置いてあた携帯電話が鳴た。バイト先からの着信だた。
 冷や汗がでる。こないだ始めたばかりだが、三日で行くのをやめたバイト先だ。
 俺はこの中でひとりだけと会話がしたいと思う。からだはひとつなのだし非常に合理的だろう。
 となるとあとのふたりは俺と会話をすることができない。ちなみに俺はBと会話をしたくない。
 さすがに待たせるのは心苦しいが、体をふたつに分けることはできそうになかた。
 肺も腎臓もふたつあるのに難儀だと思う。
 となるとやることはひとつだ。
 Bからかかてきた携帯電話を180度回転させると、おもむろに通話ボタンを。
 バイト先からの携帯を通話状態にして横にする。
 もしもし、おい。という声が反響して勝手に会話が始また。良い出会いを。
 これで大丈夫だ。俺はこれ以上ないほどに心穏やかに、心置きなくAと会話することができる。
 さてと、と最初の携帯電話を手に取る。
 な、なんと画面の向こう側であほづらをした男がこちらを見ているではないか。
 目があうとニタと薄気味の悪い笑みを浮かべたそいつは、急に不機嫌な顔に戻り、そと視界から消えた。
 しばらく動くことができない。まるで金縛りにあたみたいだ。深い悲しみとともに。
 俺はゆくりと携帯をポケトにしまうと、さめざめと泣いた。

 Aからの着信は、切れていた。
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