第25回 てきすとぽい杯〈てきすとぽい始動3周年記念〉
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今日という日が終わる前に
投稿時刻 : 2015.02.15 00:32
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今日という日が終わる前に
三和すい


 今日はバレンタインデー
 女性が好きな男性にチコを贈て「好きです」と告白する日だ。
 けれど、君はそんな素敵なイベントに関心がないどころか面倒に思ているようだ。
 偶然知た君のアカウント名。
 君のことがもと知りたくて、一日に何度か君のつぶやきを覗いている。
 いつもは君の新しい一面を知ることができてうれしいが、今日ばかりは読むのが少し辛い。「今日はバレンタインデーたのか」とか「チコを配る習慣がない会社でラキー」というつぶやきは、ボクの心をえぐるように突き刺さる。
 君は、ボクにさえ想いを伝える気はないのか?
 暗い気分のまま夕飯を終え、ツイターを覗いてみると、

 『バレンタインデーに起こるイベント
 「トラクでチコが運ばれてくる」 
 shindanmaker.com/9999999 
 まだ来てないんですけど!』

 そうか、君は告白したいのではなく、告白されたかたか!
 つまり君はボクからの告白を待ている!
 時計を見ると、もうすぐ夜の8時。
(あと4時間、か……
 無理かもしれない。間に合わないかもしれない。
 けれど、ボクは君をあきらめたくない!

 ボクはATMでありたけのお金をおろすと、会社に向かた。
 いつも使ているダンプトラクに乗り込みエンジンをかける。
「待ていてくれ!」
 夜の道を、君の家を目指して、ボクはトラクを走らせる。
 道沿いにコンビニやスーパーを見つけると、残ているチコをすべて買い、トラクの荷台に積んでいく。
「待ていてくれ!」
 ボクはチコレートを積んだトラクを走らせる。
 君への愛をのせて、ボクは走り続ける。
 君の部屋を、チコで、ボクの愛で満たすために。
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