てきすとぽい
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第26回 てきすとぽい杯
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ぼくらのシャングリラ
(
めぐる
)
投稿時刻 : 2015.04.11 23:38
字数 : 1272
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ぼくらのシャングリラ
めぐる
ネイルがなかなかうまく決まらなくて、ち
ょ
っ
と手間取
っ
た。
それなりにイライラはしたけれど、以前はこの後も朝まで極力爪にものを触れさせないようにしなければいけなか
っ
たのだから、コスメの進化とは素晴らしいものだ。
「ゆうらさんカラめ
っ
セ
ぇ
ジが届いています」
「読み上げて」
だいぶ人らしい発音にな
っ
てきたとはいえまだ少しおぼつかないと思うのはわがままにな
っ
てしまうだろうか。なんとなく昔から気に入
っ
ていたキリンのぬいぐるみに組み込んでもら
っ
たコンピ
ュ
ー
ター
が、少し間を置いてから「ではでは」というテキスト読み上げの合図を言
っ
た。
「いよいよ明日になりましたね。りかさんにお会いできるのを楽しみにしています。夜更かししてパンゲアや
っ
て寝坊します、とかはやめて下さいね、か
っ
こ笑うか
っ
ことじる」
「ありがとう。か
っ
こ笑うか
っ
ことじるは、わら、で読み方登録しておいて」
「わカリました」
古風な物言いの人だ。実際は文章だから、物言いじ
ゃ
なくてなんていうんだ
っ
たか。
パンゲアというのは私たちが知り合
っ
たオンラインゲー
ムだ。プレイヤー
は神様とな
っ
て、それぞれの地球を創りあげていくというもので、今まで科学で解明されてきた通りに進めたい人や、人間のいない地球、土星
っ
ぽい地球、酸素縛り、植物縛りなど、さまざまな遊び方があり、人気があると思う。
彼女とは確か、私の地球が何回目かの氷河期を迎えた時にロケ
ッ
トをぶつけてきた。
ぶつけてきたというか、燃料が切れて不時着したのだ
っ
た。
私は少ない資源をなんとかやりくりして補修を手伝い、暖かくな
っ
たらまたおいで、とメ
ッ
セー
ジを送りロケ
ッ
トを見送
っ
た。
それがどういうことか、現実の世界で暖かくな
っ
た今頃に実際に会おうということにな
っ
た。
キリンに健康チ
ェ
ッ
クをしてもら
っ
て、明日に備えてベ
ッ
ドにもぐ
っ
た。
ち
ょ
っ
とだけパンゲアをや
っ
てたら、キリンに怒られてしま
っ
た。
朝は無事に寝坊することなく支度を済ませ、待ち合わせの駅の広場に着いた。
相手は少し前に着ていく服の画像を送
っ
てくれていたので、すぐに見つか
っ
た。
会
っ
てランチを食べて科学館と本屋を見て、あ
っ
という間に時間は過ぎて、もう日が暮れて街灯がつき始めてきた。
お互い科学館で歩き疲れてヘトヘトだ
っ
たので、口数も少ないまま解散してそれぞれの家路についた。
ゆうらが無事に帰れることを祈
っ
て、空を見上げる。
向こうの星まで、地球何個分の距離だ
っ
けか。彼女は今日、向こうの時間で何時に起きたのか聞きそびれていた。
私はこの科学館の最寄りの駅から家まで、居眠りせずに帰れるだろうか。
暖かくな
っ
て、日が沈んだとはいえまだ30℃ある。コンビニに寄
っ
て飲み物を買
っ
てから行こう。
ゆうらは平気そうな顔をしていたけど、向こうの星は温暖化の最中だ
っ
たりしたんだろうか。
「今度はこ
っ
ちに遊びに来て下さいね」なんて言われてしま
っ
たので、や
っ
と抜け出した氷河期の中で、資材を集めて会いにいかなければいけない。
キリンに計算やら何やら、スパルタで叩き込んでもらわなければ。
ゆうらに貰
っ
たアノマロカリスのぬいぐるみをぎ
ゅ
っ
と握
っ
た。
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