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第27回 てきすとぽい杯
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禁忌
茶屋
 投稿時刻 : 2015.06.20 23:30
 字数 : 1042
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禁忌
茶屋


 水濡れ厳禁だという。
 水に濡れることが厳しく禁止されるという事だろう。
 水、水素が二つに酸素の化合物で、多くの物質の溶媒になる。
 生命活動に不可欠で、地球という環境には欠かせない物質だ。
 「万物のアルケーは水」とタレスは言たらしい。タレスは古代ギリシの哲学者だ。
 そんな神聖な分子たる水を厳禁とは問いただしたくなるところをぐとこらえて、考え直す。
 水でない液体で濡らすのは問題ないのかと。
 エタノール、メタノール、ヘキサン、トルエン、ジメチルスルホオキシド、その他もろもろ有機溶媒。
 それらをこのものに浸潤させることは別段厳禁ではないという事か。
 たとえ常温で個体であても高温に熱せれば液体になるのが物質というものである。その前に分解しなければだが。
 何故、水のみが限定されるのか。何故ほかの液体と峻別されるのか。
 これは差別であろうと申し立てようと思いつくが、そもそも人格のないものに差別という概念が関係あるのかと思い立てやめた。
 もし仮に、水としよう。
 水はつまるところH2Oであるが、その中にはわずかながらでも不純物が含まれている。
 純粋な水でないからこそ通電するのだ。完全な純水は絶縁体となる。
 水道水は塩素等の物質が含まれているが、はたして水濡れ厳禁の「水」の対象内に含まれるのであろうか。
 水はどこまでが水なのか。何%までの水が水であるのか。
 アルコール1%を含んだ水は水と呼べるか。炭酸水は水であるか。
 わからぬ。
 そもそも水濡れの「濡れ」はどこまでか。表面に水がついてしまた時点でアウトか。それとも内部に浸潤することが駄目なのか。その浸潤はどの程度までなのか。
 わからぬ。
 わからぬ。
 わからぬことばかりだ。
 先行文献もない。
 ならば、実践あるのみだ。

 そうして彼は目の前の棺に眠るミイラに水道水を注いだ。
 するとミイラはみるみるうちに生命を取り戻していく。
 そのミイラはかつて勇者との戦いに敗れ封印された大魔王・ジヒドロゲンモノオキシド王だたのである。こうして大魔王は復活し、世界征服に乗り出したのである。
 あという間に征服された世界には絶望に満ちたが、時空魔術学者が異時空解放術式により異世界の古代の英雄たちを現代に復活させることに成功する。
 現代に復活したよくわからないチイスの偉人、テムール、フリードリヒ大王、韓世忠、グスタフアドルフ、細川政元、セミラミスの六人は互いに反目したり、野望を抱いたりしながらもやがて力を合わせてジヒドロゲンモノオキシド王に立ち向かていくのであるがそれはまた別のお話。
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