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作品一覧
(時間外)向こう側へ
投稿時刻 : 2015.07.22 04:26 最終更新 : 2015.07.22 04:27
字数 : 9484
5
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コメント
※ このコメントには、作品の展開や結末に関する内容が含まれています。
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 読んでいて疲れました。暗い感じの話なので読むに疲れるのは私としてはいいんですけれども。でも、もう少し大学生と社会人についてのありがちな考えからもう一歩踏み込んで書いていたら楽しかったかも、と思いました。
 私もできていないこと多いので言うのも何なんですが、暗い話を書くときはまず主人公に身体を動かせてそれから話を進めるように気を付けています。読者を小説の世界に無理やり引っ張ってしまおうと思ってやってるのですが、これまた難しいです。
 比喩表現を使った描写は上手で、全体的に読みやすかったです。それだけにもう少し深く書いてくれたらよかったのに、と思える作品だと思いました。
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それぞれの人間の、苦しむ理由、死ぬことを見つめる、というテーマが個人的にはすごく好きです。
大学生のユキヒトが、決定的な理由があるわけではないけれど、なんとなく大学に行きたくなくなる。タクミが仕事をしている上で、仕事に意義を感じられずに、なんとなく死にたくなる。その気持ちは解ります。
私にもできていない事ばかりなので、このような批評を書いてしまうのは本当に滑稽なのですが、この“なんとなく”の部分をもっと深く見たいな、と思いました。
自分の生活がなんとなくパッとしない、他人の視線が気になるし、周りの人間が疎ましく見えてくる。だからこそ、かつての父との想い出、そして人間の目のない自然の中へ向かう。そこで、自分が生きているということ、己が他人に左右されない一個人として存在していられると感じられる。その部分は好きなのですが、しかし突然現れたタクミの死ぬ理由が、主人公に死を意識させる彼の言葉が、今一つ死に向かう人の実感を感じられませんでした。どうしても型どおりの記号のような印象が否めないのです。

(……どうして俺は無意味な思考を働かせてばかりいるんだろう――
この部分は感情が剥き出されていて好きでした。ドストエフスキーに通ずるような、人間の自意識を包み隠すこともなく書こうとする文章。主人公の気持ちを曝け出すようなこの文章が、徹底的に自意識に囚われている彼の思考を作者が自然と書いたような、読み手さえも気にせずに計算も何もなく書かれたような文章がすごく良いです。このような言葉が、もっとユキヒトに、そして死に向かおうとするタクミに現れてほしいなと思いました。どうしてもまだ、型通りの言葉に押し込められているような気がして、もっと彼らに感情から発する言葉を与えてもいいのではないかと、本当に個人的な感想ですが(なんだかものすごく僕の小説観の押し付けなのですが)、そう思う小説でした。

ユキヒトが山に篭って生き生きとしだした描写は引きこまれました。川水の中に脚を突っ込むシーンからは、とても生き生きと書かれていて、好きです。自然の中にこそありありと生きていける人間というのがすずきりさんの言葉によって確かに書かれていました。かつて祖先たちが自然の中で狩りをし、食料を取り、火を起こし暮らしていた、あの時のように自然と共に生きる人。都会の確約された暮らしの中にない、自然の中にこそ人間の生きる意味や生へのありありとした実感というものを感じられるユキヒトの描写、都会から離れた彼の姿は、とても良かったです。
そうでありながら、結局は都会で生きて行かねばならないユキヒトが、なんだか切なく感じられました。
※ 追記(2015.07.26 20:05)
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タツミをタクミと打ち間違っていました……。失礼な書き間違いをして本当にすみません…。
2015.07.26 20:05
古川遥人さん のコメント に、追記がありました。
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