小説、それは革命であーる 第1回犬吠埼一介杯
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kakumeinooto
茶屋
投稿時刻 : 2015.08.28 20:08
字数 : 827
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kakumeinooto
茶屋


 革命の音が聞こえる。
 ひしひしと伝わてくる。
 それは地鳴りのように大地を揺らし、家を揺らし、私の体を揺さぶる。
 この世をひくり返せ!
 支配者を打倒せよ!
 そんな声が、振動となて、音となて、伝わてくるのだ。
 余波はそこらじうに見える。
 徴候はあちらこちらから感じる。
 同僚のあいつが上司に文句を言たのも革命が近い証拠だ。
 官憲に立てついた見知らぬあいつもその証拠だ。
 革命の萌芽は世の中に満ち満ちている。
 今にもそれは訪れる。
 そう、革命のときは近いのだ。
 もはや労働者も雇用者も関係なくなる。
 歴史的権力も打破されるに違いない。
 革命の余震はやがて大地を揺るがし、革命を発火させるだろう。
 革命は爆発し、世界はまるきり変わるのだ。




 革命の音が聞こえる。
 まだ聞こえている。
 いずれ革命は起きるだろう。
 革命が起きて、この閉塞しきた世界を変えてくれるに違いない。

 

 革命は音は未だ聞こえている。
 それは絶えず鳴りやまず、その音はどんどん大きくなている。
 間違いない。
「革命は起きる」
「はいはい。おじいちん。もうすぐ夕ご飯ができますからね


 革命の音が聞こえる。
「で、その音てどんなんなの?」
「いや、そり、なんつーか、あれだよ、革命!て感じの音だよ」
「意味わかんねーよ。全然伝わんねーよ。せめて擬音で言てくれよ」
「え、いや、そう言われても、あれだろ? ドーン! とか ドゴーン! だろ」
「今の適当。め適当に言?」
「うるせえよ。うちのじんが言てるんだよ。革命の音が聞こえるて」
「ボケてんじね?」
「いや、まあ、それは、なんつーか、アンタブルて感じで」
「まあ、そこはごめんだけどさ。何だよ革命の音て」
「うるせえ。聞こえんだよ。遺伝だよ遺伝。じんから受け継いだんだよ」
「うるさくね?」
「ああ、まあ、正直ね……
「めんどくせな」
「でもさ、これめテンシン上がるぜ。うおて感じで」
「病院いけ」
「うせ」


 革命の音は未だ鳴りやまない。
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