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労働の夏!職場小説大賞
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今日も仕事に励みます
 投稿時刻 : 2016.08.06 23:50
 字数 : 500
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今日も仕事に励みます
永坂暖日


 死神は人間の魂を刈り取るのが仕事だ。だがしかし、死神が刈り取らなくても人間の魂は然るべきところへ勝手に行く。たまに迷子になたり、現世に留まりたがる魂もいるが、それらを追い立てるのは死神の仕事ではない。
 死神の仕事は、あくまで指示された人間の魂を刈り取ることだ。
 我々はなぜ人間の魂を刈り取るのか。ある死神が、上役に尋ねたことがあた。
 素朴な疑問だた。誰もが眉をひそめる極悪人ではなく、どこにでもいる凡庸な人間の魂を刈り取り導いたあと、ふと思たのだ。
 上役は片方の眉毛だけを器用に一度上下させたあと、次に刈り取るべき人間の名を告げた。疑問には答えてくれないのかと死神が少々残念に思たとき、上役は言た。
 死神に魂を刈り取られる人間はすべてある男の末裔なのだ、と。遙か昔、彼は神々の怒りに触れた。
 上役はそれ以上のことは教えてくれなかた。しつこく聞ける雰囲気でもなく、その死神の疑問はある程度解消したので追求する気も起きなかた。
 その男がいつ、何をしたのかはわからない。しかし、死神の仕事に変わりはない。魂を刈り取るため、今日も死神は指示された人間の元へ向かう。
 死神の手に落ちた魂は、必ず地獄へ導かれる。
 
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