てきすとぽい
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第34回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
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今日も今日とて昼寝する
(
犬子蓮木
)
投稿時刻 : 2016.08.20 20:43
字数 : 1000
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今日も今日とて昼寝する
犬子蓮木
引
っ
越しをした。もう何度目だろうか。
今回は随分な長旅だ
っ
た。
思えば遠くへ来たものだ、なんて言うのは誰の言葉だろうか。
お母さんの仕事の都合ということらしいけれど、それで毎回連れ回される身にもな
っ
てほしいと思う。まあ、養
っ
てもらう身だから文句もひとことふたこと口にすることしかできないけれど。
部屋の中にはまだ片付けられていないダンボー
ルなどがあふれていた。
こういう散らか
っ
ている状態は嫌いではない。
なんというかアスレチ
ッ
クみたいで、体をひねりながら飛び跳ねてみたりする。
あれ、なんだろうか。
どうも動きにくい。
にくいというよりもしやす過ぎるというか、体がすごく軽くな
っ
たような気がする。長旅で疲れて痩せたのかしらん、なんて思うけれど、疲れたら元気に動けたりはしないだろうし、ごはんはいつもどおりもりもり食べたのでたぶんやせてはない。
お母さんは、わたしにすぐ「太
っ
た」とか「デブ」とか言うのだ。別にそんなすごいほどでもないし、ち
ょ
っ
とぐらいふくよかなほうがかわいいと思う。16歳の女の子に向か
っ
てそんなことを気軽に言わないでほしい。みんなそんな死にそうなぐらいがりがりに痩せているほうが好きなんだろうか。ねえ、どうかしらん、なんてどこかの誰かに聞いてみる。
お母さんは外出していた。引
っ
越しの手続きに行
っ
てくるとか言
っ
てたような気がするけどよく覚えてはない。
まあ、せ
っ
かくの自由なんだから、部屋の片付けなんてしないで、昼寝をすることにしよう。ベ
ッ
ドも布団もまだできていないから、荷物だけどかして暖かそうな場所をゲ
ッ
トする。
昼寝はいい。
とてもいい。
夜に寝るのとはまた違
っ
たよさがある。
なにがそんなに素晴らしいかというとですね
……
。
むに
ゃ
むに
ゃ
……
。
起きた。
ドアが閉まる音がしたからだ。お母さんが帰
っ
てきたのだろう。わたしは音のした方へ向か
っ
て走る。そこがき
っ
と玄関だ。
「ただいまー
。元気にしてたかな、みかん!」
駆け寄
っ
たわたしを脱走防止用ネ
ッ
トをくぐ
っ
たお母さんが抱きかかえる。
「今日もかわいい!」
当然。猫はかわいいものだし、わたしはその中でもさらにかわいい。
「おデブち
ゃ
ん」
違う。それは違う。
「に
ゃ
ー
!」わたしは注意のために鳴いた。
「元気、元気」
お母さんに抱えられてリビングへ移動する。
窓から見上げた空に、
青くて大きな星が浮かんでいた。
「地球きれいだねー
」
お母さんが言
っ
た。
「あそこから来たんだよー
」
「に
ゃ
あ」
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