てきすとぽい
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第38回 てきすとぽい杯
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天上の恋について
(
寿々
)
投稿時刻 : 2017.04.16 00:36
最終更新 : 2017.04.20 14:16
字数 : 2593
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2017/04/20 14:16:34
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2017/04/16 00:36:44
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2017/04/16 00:36:04
天上の恋について
寿々
ねえ、あなたは、愛
っ
てどういうものだと思います? んー
、あなた、ご結婚は?
ああ、そうですよね、すいません、そんなこと、仕事上簡単に答えられないですよね。や
っ
、いいんです、理解できるんで。
え
っ
と、何が言いたか
っ
たか
っ
て言うと、僕は、愛
っ
ていうのは「あの人と素敵なもの作り上げたい」
っ
ていう強い気持ちのことを言うんだと思うんです。思うんです
っ
ていうか、まあ、そうですよね? ね? そう思うでし
ょ
? ね?
うん、あなたがわか
っ
てくれる人でよか
っ
た。たまにね、は
ぁ
?
っ
て感じの顔する人いるから。こ
っ
ちこそは
ぁ
? だし。馬鹿はこれだから。
ん? ああ、そうそう。んー
、そうだな、誰にでもわかりやすい例をあげると、例えばこどもなんかがそうですよね。大好きで素敵なあの人と、この世界で一番素敵なものを一緒に作りたい
っ
ていう気持ちがあ
っ
て、こども
っ
て生まれるでし
ょ
。
そういう意味で、僕達
っ
て特別に最高の恋愛関係にあ
っ
たんです。
こどもはもちろんいません。だ
っ
てセ
ッ
クスしたことないから。
っ
ていうか、セ
ッ
クスなんて意味ないから。んー
、こどもがいらないからとか、セ
ッ
クスしたくないから
っ
て意味じ
ゃ
ないんです。
セ
ッ
クス
っ
てね、愛のランクを下げるんですよ。だ
っ
て、どんなに「あの人のことが好きだから」とか言
っ
た
っ
て、そこには絶対、自分の性欲を満たしたい的な気持ち入るじ
ゃ
ないですか。結局自分が気持ちいいからヤリまく
っ
てるわけでし
ょ
、リア充的な呼び方されてる奴等
っ
て。
んー
、いやいや、それが悪い
っ
ていうわけじ
ゃ
ないんですよ、だ
っ
て、そういう人達が一定数いるから人類が絶滅しないわけだし? や、見下してるわけとかじ
ゃ
なく
っ
て、まあ、ようは、セ
ッ
クス
っ
てのは一般人用の愛
っ
ていうか。うん。
つまり僕達の間にあ
っ
た愛
っ
ていうのは、自分達の肉体の気持ちよさを求めるんじ
ゃ
なく
っ
て、お互いの心とか魂を満たし合う、高次元の愛だ
っ
たんです。セ
ッ
クスに依存するような、低次元なものとは違う。あ、あなたもそうだ
っ
たら、すいません。でも、逆にそれが普通なんで。あなただけのことじ
ゃ
ないんで、気を悪くしないでください。
こんなことを言うと偉そうかもしれないけど、僕達が特別だ
っ
たんです。
でも現実に、僕達はこれまで、世界で一番素敵なものをず
っ
と一緒に生みだし続けてきました。いわば、それが僕達のこどもです。僕達は、セ
ッ
クスなんてつまらないものに頼らなくてもそれができるんです。
え? 具体的に? んー
、色々な方法がありました。Twitterとか、Facebookとか、インスタグラムとか。そういうところで、お互いのインスピレー
シ
ョ
ンを交換してました。普通はLINEとかなんでし
ょ
うけど、ほら、SNS
っ
て他のフ
ァ
ンの人達からもコメントもらえるじ
ゃ
ないですか。見当外れすぎて腹立つことも多いんですけど、良い線ついてくれる人もいるんですよ。そういうのがまた、新しい閃きにも繋が
っ
たりして。
で、それをまとめて、彼女が楽曲にするんです。よく読んで確認してもらえればわかるんですけど、彼女の歌詞
っ
て、結構僕との関係とかやりとりとか反映されてるんですよ。そんなに素直な気持ち書いたら、勘の良い人には俺達のことバレち
ゃ
うよ
っ
て、こ
っ
ちが心配しち
ゃ
うくらい。
だから、許せなか
っ
たし、悲しか
っ
た。いえ、彼女を許せなか
っ
たわけじ
ゃ
ないんです。
一番大事な時に彼女を守れなか
っ
た自分と、それから卑劣な方法で彼女を騙したあいつが許せない。あいつのせいで彼女は愛を失
っ
てしま
っ
た
……
。男に股をひらいて、あんあん言
っ
て、気持ちいい
っ
て喘いで
……
、彼女は、肉欲の沼に溺れてしま
っ
た
……
。翼が穢れた天使は、もう天上には戻れない
……
。僕の罪です。大切な恋人を守
っ
てあげられなか
っ
た僕の。
彼女も後悔していました。いえ、直接そう言われたわけじ
ゃ
ありません。賢い彼女でしたから、自分のしてしま
っ
たことの重大さに気づいていたんだと思います。大分前から、表情が暗か
っ
たんです。僕は最初その理由を気づいてやれなか
っ
た
……
。仕事増えてきて疲れてるのかなあとか、作曲大変なのかなあとか、見当外れのことばかり思
っ
て、励ましの手紙とか、可愛い癒やしグ
ッ
ズとか、そんなのば
っ
かり送
っ
てたんですよ、ウケますよね。え? うん、事務所にです。だ
っ
て、彼女がそ
っ
ちに贈
っ
て欲しい
っ
ていうから。家にひとりだけ送ると、ほら、特別な関係がばれち
ゃ
うから。木を隠すなら森の中
っ
て言うでし
ょ
。
でもね、や
っ
とわか
っ
たんです。あの雑誌の記事と写真を見たときに。ああ、これだ
っ
たんだ
っ
て。イベントとか、ライブとかで、俺と目があうたびに表情が強張
っ
てたのはこれが理由だ
っ
たんだ
っ
て。
彼女、悲しんでたんです。そして怖が
っ
てたんです。自分が一時の肉欲に騙されて愛を穢してしま
っ
たことと、それが理由で僕に嫌われてしまうんじ
ゃ
ないか
っ
てことに。
馬鹿ですよね。そんなわけないのに。
だから、僕、本当に辛か
っ
たけど、彼女の願いを聞いてあげることにしたんです。
ええ、そうです。僕は殺人を犯しました。
え、あいつも殺すつもりだ
っ
たのか
っ
て? まさか。確かに最初は殺したいと思いましたよ。でもそれじ
ゃ
あ簡単すぎるじ
ゃ
ないですか。あいつは一生後悔し続けるべきなんです。僕と彼女の高等な愛をセ
ッ
クスで貶めたことを。そしてそれによ
っ
て、僕達が生みだしてきたあの素晴らしい神曲達のような存在が、もう二度とこの世に生まれないことと、その原因とな
っ
た自分の罪深さを永遠に絶望し続けるべきなんです。
はい、認めます、刑事さん。僕は彼女を、殺しました。動機は彼女を救うためです。一週間前の野外ライブで、彼女は僕に言いました。え? いえ、違います。彼女の目が、僕に言いました。汚れてしま
っ
た私を助けて。天に返して。綺麗な体と魂であなたのところに帰
っ
てくるために、
っ
て。だから、殺しました。犯罪なのはもちろんわか
っ
ていました。でも僕にと
っ
ては、彼女を守
っ
てあげられなか
っ
たことの方が罪だ
っ
たんです。だから、せめての罪滅ぼしに彼女の望みを叶えてあげたか
っ
た。何度? 何度
っ
て刺した回数? それ大事ですか? たくさんですけど。理由? だ