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第5回 てきすとぽい杯〈平日開催〉
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10年の期待
 投稿時刻 : 2013.05.17 23:38
 字数 : 1534
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10年の期待
住谷 ねこ


 2013年 5月17日 金曜 午後8時。

おめでとう私。

私は今日、24才になりました。
そして いま 小学校以来の親友
田中美以奈と渋谷のとある店にいる。


本来、私は誕生日には出かけない。

というのも……

うちの家族はわりとイベントごとが好きなので
誕生日といえばパーとまではいかないにしても

たとえば 弟だたらプリンが好きだから
いつもは市販のプリンだけど
んと手作りしてフルーツも飾たプリンがつくとか

たとえば お父さんだたら 
ビールが一本増えるとか
それもいつもの安いのじなくて
コロナの瓶 ライムつきだたりとか

お母さんの場合は わりと面倒だ。
なにしろ彼女が普段食卓を支配しているわけだから

まあ… 後片付けをするとか
普段より 「おいしいね」を連発するとか
その程度のことだけど

まあその程度とはいえ
さりげなくみんなが「誰か」の誕生日を
覚えていて

なんとなく 気に留めているというか
ているというか…
そういう家なので

まあ 彼氏とか友達も含めて
弟の場合は彼女とか
お祝いしてくれるとしても
別の日でもいいじんくらいなもので

なのに。
なのに。

今日は そういう
なにげない
いわずもがなの誕生日を
私は犠牲にして
出かけている。

それはなぜか。

それは これ。
この 縦横 高さ どれも 6・7cmの箱が原因だ。

この箱は、美以奈が私の14才の誕生日にプレゼントとしてくれたものだ。

真四角の 青いつやつやした紙に包まれて
オレンジのリボンをつけたこの箱は
だけど もらていらい まだあけていなかた。

それには理由があて。
プレゼントはたいてい 学校の休み時間とか
帰りとかに渡したりもらたりしていたけど
この時は美以奈が あとで わざわざ家まで届けに来た。

もう 忘れてるのかと思たので
すごく嬉しかた。

息を切らせてやてきた美以奈は
この箱を私におしつけながら
だけど ひとつ約束をして欲しいといた。

「これは 特別なものだから
  今日あけてはいけない

 明日もあさても ずとず
 このまま 私がいいというまで
 持ていて 絶対絶対あけちだめだよ

 あけると大変な事になるよ。
 もう 絶好だからね。
 一生絶好だからね

「そんな じあ いつあけるの?
 いつ いいていうのよ?
 誕生日は毎年あるんだよ?」

そういうと 美以奈は少し困た顔をして
「じ 10年後
  10年後に 一緒にあけよう」

そうして今日、 ついに10年後の誕生日を迎えたのだ。


今日 会う約束をしたとき
当然 わかているとおもていたけど
美以奈は忘れていたらしく
ものすごく驚いていた。

「じ 開けるよ」

……

「なんか どきどきする
 私たちの学校ではやらなかたけど
  タイムカプセルとか開けるときこんな感じなのかね

……

なんだか もたいないとおもいつつ
オレンジのリボンをほどく。

つやつやした紙は とくにテープで止めてるわけでなく
そのままカサカサと 開く。

「あのさ……それ 開けないほうがいいと思うんだよね」

「?? なんで?」

「いや まさか ずと 本当に持てるなんて
思わなくて…… つか 今日まで忘れてたていうか……

何を言てるんだ? と思いながら
ふたに手をかける。

ふたは 少しの抵抗感を残して ぽふととれた。

中には……
中には……


「だからさ、 ごめん」

中は 空ぽだ。

「あの日さあ。
 あの誕生日の日。
 プレゼント買うのすかり忘れちてて
 おこづかいも もうなく
  
 だけど あの頃は そういうのてはずせないからさ。
 そういうことにしたわけ。

 10年もたてば忘れると思たし
 まさか そのままずーと 友達するかもわからなかたじない?
 げんに 高校のときは別々で疎遠になてたんだしさ」

10年 楽しみに ずと 大事に 机の上にあ
この箱の中には何もはいてなかたのだた。

「まあ でも 10年楽しんだと思…… ね? 
 これで許して?」

そういて 美以奈は 箱の中に
ぽんと いこ からあげを入れた。

  
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