第46回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
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【封切】忘れた頃、あなたの夢のなかで
投稿時刻 : 2018.08.18 20:41
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【封切】忘れた頃、あなたの夢のなかで
浅黄幻影


 観光のバラ庭園がよく見渡せる喫茶店。よく晴れて心地よい風が吹いてくるなか、私は窓際の席でバラと何かのハーブテを口にした。穏やかな午後だた。
 少し離れたところには湖畔があた。スワンボートがこどもたちを乗せて進んでいた。
 ――ああ、なんて素敵なひととき。このひとときがいつまでも続いていたらいいのに。
 しかし私はいつまでも現実逃避をしているわけにはいなかた。スマートフンを眺めざるを得なかた。毎日が忙しい。仕事の予定や他のスケジル、私的なメールの確認もこんなときでもしなければならない。写真など撮ている場合でもない。忙しい毎日に少しため息をついて、ハンドバグに手を伸ばして立ち上がろうとした。
 けれど私が座ているのとは反対の向かいの席に男が馴れ馴れしく座てきた。
 ――なんて失礼な! 人が楽しんでいたところ(もう終わるところだけれど)に!
 けれどよく見ると、それは私の彼氏だた。
 ――ああ、そうだ。一緒に来ているんだた。
 それから私たちは、また庭園のあちこちを見て回る。
 赤や黄、クリームの花が咲いていた。つるのバラや、それから私は知らなかたけれど、先のとがた花びらを無数に重ねたもののほかにも丸く小さい花がまとまて咲くものもあた。一面にうすらと広がる香りもまた素敵。
 ――ねえ、あれはアルストロメリアじない?
「アルストロメリアはユリとかじないかな? うーん、あれはなんていう名前だろうね」
 彼は困た顔をしている。でも、私は本当にアルストロメリアだと思た。でもアルストロメリアなんて見たことない。じあなんで、アルストロメリアだなんて思たんだろう?
 彼は私に立て札に書かれたバラの名前を読み上げてくれた。

 朝、ベドの上で目が覚めると私はまどろみのなかにまだ身を委ねていたかた。けれど、私は自分が裸だと気づいた。いつも下着は着けるはずなのに……。なぜ自分が裸なのか、理解できなかた。しかし彼が隣にいることですべての回路が繋がた。
 ――そうだ、私は昨日、彼と……
 それが今までの私だた。けれど回路は正しく繋がてしまた。
 ――違う! これは私の知ている人ではない!
 いたいなぜ彼氏でもない男が私の隣にいるのか? 彼はどこにいるのか? そもそも……私は誰なのか!
 忘却していた長い長い日々。私はすべてを取り戻すため、目がくらむ光のあふれる一週間に足を踏み出した。
 ――私はいたい、誰なの?
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