てきすとぽい
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第47回 てきすとぽい杯
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〔 作品9 〕
ケット・ルーと雲
(
小伏史央
)
投稿時刻 : 2018.10.20 23:45
字数 : 598
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ケット・ルーと雲
小伏史央
ケ
ッ
ト・ルー
の背中に寝転が
っ
て、雲の動きを眺める。こうしているのが何より好きで、暇なときでも暇じ
ゃ
ないときでも、私はふかふかの毛に身を沈めて、ぼー
っ
と空を眺めに来るのだ。
私の村は山々の連な
っ
たふもとにある。その山並みは竜脈と呼ばれていた。この世界の果て、竜の棲むところと繋がる熱が、地下水のように山並みに沿
っ
て流れているのだという。その熱は特別な熱で、恩恵を受けているこの村ではどんな作物でもよく育つのだという。熱そのものを採取できないものかと、王国から研究者たちがや
っ
てきたりもしていた。
ケ
ッ
ト・ルー
は巨大な猫だ。研究者たちが建てた研究施設ほどは大きくないけど、私たちが住む民家のどれよりも大きい。
ケ
ッ
ト・ルー
はいつも同じところで丸ま
っ
ている。山に入
っ
て少し歩いたところに、ひときわ地面が温かくな
っ
ている大きな窪みがあ
っ
て、そこにす
っ
ぽり納まるように丸ま
っ
ているのだ。
私が物心つく頃には既にそこに丸ま
っ
ていた。研究者によるとあれは珍しい生き物ではなく、竜の亜種であるらしい。鱗も翼もない、こんなにふわふわした体なのに、どうして竜に含まれるのかは、よくわからなか
っ
た。
雲が山並みの源流へと流れゆき、夕焼け空にな
っ
た。私はケ
ッ
ト・ルー
の背中で立ち上がり、鋼鉄のようなヒゲをはしごにして地面に下りる。
「また明日。ケ
ッ
ト・ルー
」
今日も、のんびりとした時間を過ごした。
これからもそうであればいいなと思う。
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