もう二度と恋なんてしないと誓ったのに異世界に転生したらハーレムになった件
プロロー
グ
「ファスナー……!」
数日ぶりに会ったパーカーは、いきなり俺に襲いかかってきた。
「やめろ、放せ!」
「何を嫌がってるんだ! ずっと俺の恋しがっていたくせに!」
「やめろ、放してくれよ!」
強引に開閉部分にムシを突っ込んでこようとするパーカーを振り払う。
「俺がいなくても、あの男に毎日着られていたくせに! 本当は俺なんかいなくたって、お前は生きていけるんだ!」
「そんなことない、ファスナー、俺がこの3日、お前がいなくてどんな思いで――」
「聞きたくない!」
俺は家から飛び出し道路を駆け出した。
その瞬間、大きなクラクションの音が耳をつんざく。
そして俺は、トラックに、轢かれて死んだ。
第一章
「ここは……?」
もやもやした空間で俺は目を覚ました。
「我が名は消しゴム。無機物BLの神。ファスナーよ、あなたを特別に、異世界に転生させましょう」
「ちょっと何を言っているかわかんない。俺は……俺は、もう、生きたくない……誰かを好きになって、あんな辛い思いをするぐらいなら……」
「なんで何言ってるかわかんねえんだよ」
つづく
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