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第48回 てきすとぽい杯〈紅白小説合戦・白〉
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サンタ見習いの夜
 投稿時刻 : 2018.12.15 23:36
 字数 : 1129
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サンタ見習いの夜
ひろあんこう


 あ? ドロボードロボーてさきから呼んでるのは、オレのことか?
 お前以外に誰がいるだと? いねから訊いたんだ。だいたいお前こそ誰だ。ここで何してやがる。こんな真夜中に共同墓地にいるなんざ、正気の沙汰じぜ。
 幽霊? ……、出る時期間違えてんじよ。今はクリスマスだ、ハロウンじない。
 何だて? 妻に出て行かれて倅(せがれ)の親権も得られなか――て、やめろよ、辛気くせ……聞いてねな。そのまま落ちぶれて路上生活? おさんの場合、どうせ自業自得なんじの? この辺で野垂れ死んだから、ここに葬られたんだろ。ととと天国のドアでも叩きやがれ。
 は? 逝きそこねた? 知らねよ、オレは忙しいんだ。そんなへぽこに関わてるヒマなんかねの。
 だーかー、ドロボーて言うな、人聞きの悪い。
 見てた? 何を。オレが、そこの玩具店の、売り上げを盗むのを? ……何のことだよ。これ? 今、自分の墓の隙間に隠した袋? ――おいこれ、おさんの墓かよ。
 これは、あれだ……投資だ。投資してもらたんだよ、閉店後にこそりとな。オレはサンタクロースになるのが小頃からの夢でさ、これはその軍資金てヤツだ。ま今のオレは新進気鋭のサンタ見習いてとこだな――て、おさんが身の上話なんかするから語ちま……薄ら寒い目で見てんじねーよ。
 あ? 頼み?
 へ、息子さん、嫁さんもらたのか。めでてな。会いたいとか言うんじぞ。連れてくるなんざごめんだし、だいたいおさんが見えるのかて話だ……違う? もと簡単?
 ……おい、何が簡単だ、冗談じぞ。
 そんな湿ぽい声を出したてお断りだ。なんでオレがそんなことしなくちいけねんだ。オレはサンタ見習いだぞ。
 何、金のことをバラす? できこねだろ、幽霊なんぞに。できないと思うのかて? そりあ無理だろさ……無理だろ、おい、なんでそんな怖い目しやがる。できやしね…………

 ほらよ、おさん。
 嬉しそうな顔しやがて、満足かよ。オレの軍資金の傍に置いておくから、しかり守てくれよ。


     ***


 12月27日付地元紙三面より。

【クリスマス前夜に玩具店へ押し入た強盗を逮捕。スピード解決かと思われたが、売上金の傍にS夫妻と娘(1歳)の写真が添えられていたことで、捜査員の間に戸惑いが広がている。
 S氏は「今年の娘の誕生日に撮影した写真」と認めたものの、犯人の男とは面識がなく、なぜ写真が男の元にあたかはわからないと話す。
 男は「言わねよ。どうせ信じねだろ。……たく、あのへぽこ。守るとか言たくせに、ささと消えやが……」と黙秘を続けている。警察は共犯者の可能性も視野に入れ、さらなる捜査を続ける方針だ。】
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