第49回 てきすとぽい杯〈てきすとぽい始動7周年記念〉
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酒・泥棒
投稿時刻 : 2019.02.16 22:50 最終更新 : 2019.02.16 23:16
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更新履歴
- 2019/02/16 23:16:42
- 2019/02/16 22:50:17
酒・泥棒
浅黄幻影


 いつも朝、目が覚めるとちぶ台に頭を載せていた。昨夜のことは覚えていた、酔いすぎていた。ウイスキーを七割空けたときがいけなかた。
「残ても仕方がないから、ささと片付けて寝よう」
 すでに思考はおかしくなていて、それが異常な行動だとは認識できなかた。シトグラスをカツン、カツンと鳴らしてぐいぐい飲んでいた。一時間後に自分の腕が赤色と肌色に染まていたのを見て、しまたと思た。
 死を覚悟した方がよかたかもしれない。とにかく、飲めるだけ水を飲んで、途中で目が覚めても水を飲んで、朝まで耐えた。結果、ただただきつい記憶だけが残ていた。アルコールで乱れた身体は、昨夜風呂に入たのにもう汗でまみれていた。
 一日が絶望的な不快感のなかで過ぎていた。足はふらつくし、視力もおかしい。人の声はガンガン響く。そして一日中、水を欲しがる。
 ――もう二度と飲むものか!
 そう思て一日を過ごし、いつもの帰り道を歩いていくといつもの酒屋の前を通り、足は自然となかへ入ていた。
 盗んではいない。きちんとお金を出して買た。私は酒泥棒ではない。酒が私を盗んでいたのだ!
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