3月うさぎの「スイーツ感想」お茶会
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さくらんぼ☆パラダイス
投稿時刻 : 2019.03.18 22:08
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さくらんぼ☆パラダイス
浅黄幻影


 彼女はガラスのテーブルに乗せられた、彩り豊かに着飾る女の子たちが載るカタログを眺めながら、口の中でさくらんぼを噛んでいた。
「そのさくらんぼ、おいしいの?」
 ぼくが聞くと、彼女はそんなわけないじない、と答えた。
「こんなの缶詰だから。本物はもと美味しいんだよ。果肉だてこんなへなへなじないし、味だてただの甘たるいシロプじなくて、ものによては酸ぱいけど、でも、ずと濃いし、かみ応えがあてね……。もう、いくらでもいけちうの」
 へ、へ……そうなんだね。ぼくは答えた。
 彼女は種入れの皿にプと口の中のものを吐き捨てた。見事に紐に結ばれたさくらんぼの枝が出てきた。
「じあ、いただきましうか! きみのスイーツを」
 まず彼女はぼくのケーキを掴んであちこちから眺めて「おもしろい形しているね」といた。そして鼻を近づけてちと匂いを嗅ぎ、笑た。そして「この果物は洗たのかな?」「ちと青いね」などと逐一コメントしてきた。ちと辱められていたが、彼女の眼力には敵わなかた。少しのアクシンだけで、ぼくの鼓動は高また。
 それから彼女は舌を、周りから上の方に向かて這わせて舐めていた。ゆくりだたけれど、彼女が舐めているであろう感触がぼくにはわかた。それから次にどんな風に彼女が口を動かすのか……彼女は舐めながらぼくの方を見て意地悪く笑ていた。ああ……自分が焦らされているのがよくわかた。しかし彼女もいつまでも遊んではいなかた。本格的に味わいだして、そのうちに夢中になて舌を動かした。涎さえ垂らしていた。
 おもしろそうにぼくの顔を見ていた。
……いいじないか、それじあ、本格的にいただかせてもらうよ」
 彼女の口が大きく開かれ、ぼくのスイーツは彼女に食べ尽くされた。
 ……
 ……
「やぱり……あの食べ方は下品だと思うよ」
「仕方ないよ、だらだら涎垂らしてから食べるのが好きでたまらないんだから」
「で、美味しかたよね?」
「美味しかたよ。また作てね」
「今度は何を作ろうか?」
「苺のババロアがいいな」
「さきの流れなら、さくらんぼじないの?」
「それは今からいただくから、いいんだよ」
 今度こそ、ぼくはいただかれた。ぼくの初めてのスイーツだた。
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